西村氏には「丸投げ大臣」などと酷評するコメント目立つ
ネット上には吉村氏に拍手を送る意見が相次ぐ一方で、西村氏には「丸投げ大臣」などと酷評するコメントも目立つ。こうした惨劇に自民党ベテラン議員の1人は「西村大臣はいいように吉村氏に振り回されている。維新に食われて自民党の政党支持率が下落する要因にもなっており、その責任の重さを感じるべきだ」と不快感を示す。
毎日新聞と社会調査研究センターが5月6日に実施した全国世論調査によれば、コロナ対応で「最も評価している政治家」は吉村知事がトップで、「吉村バブル」の到来を感じさせる。2位は小池知事で、国のトップである安倍総理は3位とさえない。これまでは安倍内閣の支持率が急落する中でも自民党の政党支持率は低下しない傾向もあったが、直近の調査結果では自民党支持率の下落も見られ、吉村氏が副代表を務める日本維新の会の支持率は立憲民主党を抜いて野党トップに立っている。
「吉村バブル」の背景には何がある
野党担当の全国紙政治部記者は「維新支持者は保守層という観点から言えば、安倍内閣を支持する層と一定程度重なってきた。だが、安倍政権の対応が失敗し、吉村氏が目立つと、もう維新に政権を任せた方が良いという人々も出てきた。それが『吉村バブル』の背景にあるのではないか」と解説する。
維新は、大阪でスタートした地域政党にすぎなかったが、国政政党に発展する中で自民党や民主党などの国会議員を参画させ、その後、東京都知事を務めた石原慎太郎氏ら「大物」も加わった。党運営や政策をめぐる亀裂はたえず「分裂」も続いたが、一定の発信力を維持してきた過程を見ると、特徴的なのは「小が大を食う」ことだ。松井代表が「御大」と持ち上げた石原氏や、野党時代の安倍氏へのアプローチはまさに「大」と位置付けることができるだろう。