企業再生へのスタートは「踏み絵」の儀式から
「レポートはいりません。お客さんを紹介してください。実際に実務を助けてください」
最近では、こんな依頼が多くなってきた。5年前、我々は大企業の経営者に「レポート」を提出し、戦略のアドバイスをするという仕事をしていた。しかし、最近ではそういう仕事はめっきり減ってきた。なぜなら、昨今の経営課題の深刻さは、レポートだけで解決するレベルを超えているからだ。
弊社に相談してくるクライアントは、資金はすでに底をついているが、借金をしてでも最後の一手に懸けなければならない状況に追い込まれている。この「一手」が失敗したら、従業員やその家族を路頭に迷わせることになる。当然、投資や融資を検討している金融機関は慎重になる。「レポートを読んでくれれば上手くいきます」と言ってもダメで、「私が自分で、責任を持って現場に入り、この計画を達成します」と言わなければ話は前に進まない。
我々が支援している改革は、経営者を前にして「過去の反省」を役員会でプレゼンすることから始まる。通常、業績が悪化する組織では、この「過去の反省」を曖昧にし、問題の所在を明らかにしないまま「改革案」を始めることが多い。しかし、問題の根本原因を明らかにしなければ、どのような手を打っても同じ状況に陥るだろう。ここまでに至った因果関係を経営者に同意させる。これは、改革を進めるうえでの「踏み絵」の儀式となる。
我々の経験から言うと、企業が不振になった原因は次の3つとなる。