うつ病治療中、会社から圧を感じて自主退職

住んでいる地域で一番大きな総合病院へ行き、最初は心療内科で受診。その後、精神神経科の医師に診てもらうと軽度のうつ病と診断された。過労が主たる原因だろうということだった。

「やっぱりという感じでしたね。原因が分かってすっきりした。なってしまったものはしょうがないですから」

会社には診断書を提出して休職することになったが、上司の苦々しそうな顔つきは今でも忘れられない。

「ほとんど有給休暇が未消化だったので丸1カ月間は金銭的な問題はありませんでした」

治療に専念したものの、さしたる効果はなく休職2カ月目に突入。

「これで給与収入はなくなりましたね。健保組合から傷病手当が支給されたけど日給の3分の2なので1カ月当たりにすると14万円ほどだった」

家賃と他の固定費を払い、医療費も出すと手元に残るのは2万円もない状態。

「こんなんじゃ奨学金の返済なんてできるわけない。機構に返済猶予を申請し返済を待ってもらえるよう手続きをしました」

会社なんて冷たいもので休職3カ月目が終わる頃になると「いつまで休むんだ」「人手が足りなくて大変なんだよ。早く出てきてもらわないと困る」などと言ってくる。

「裏を返せば、早いとこ自発的に退職しろということなんですよ。退職すれば欠員が生じるので別の人を補充できるわけだから」

もう嫌気が差して退職。病気治療中の無職ということになった。

「退職金はちゃんと出ましたよ、30万円ぐらいだったかな」

回復はしていないがバイトをしないと飢え死にする

雇用保険の失業手当も受給できるのだが、辞める前の2カ月は休職していたので給与収入はゼロ。それが響いて基本日額は4700円程度。

「その上、自己都合での退職なので失業手当が出るのは90日後からなんです。振り込まれた退職金と500円玉貯金で細々と生きていました」

体調や精神状態は少し良くなってきたが、まったく眠れない日があったり、人混みの中にいると無性にイライラすることもあったので更に2カ月間静養した。

「働かなきゃマズい、とりあえずアルバイトでもするかという気になったのは会社を辞めて半年経った頃ですね。完全に回復したわけじゃないけど、このままでは飢え死にすると思ったので」

オフィス専門の引っ越し業者が作業員募集の広告を出していたのを見つけ、面接に行ったらその場で採用してくれたそうだ。

「金曜日の夜から土曜日の朝、土曜日の夜から日曜日の朝までは完全な引っ越し作業。日給は1万円だった。平日の3日は事務所内のレイアウト変更に伴うオフィス家具などの移設作業で夜6時から10時までの4時間勤務です。こっちの時給は1200円だった」

このアルバイトで月収14万円は確保できた。身体を使う仕事なので疲れたが、それでよく眠れたので御の字だった。