メモだけではダメ!清書も必ずセットで

松下電器産業(現パナソニック)の創業者は、松下幸之助さん。私は松下電器に入社後、PHP研究所の松下さんの秘書として23年間務め、その後半は経営責任者を担当しました。その間、常に私は松下さんとの仕事において、「メモをとる」ことを心掛けていたと思います。

公園で話すアジアの実業家
写真=iStock.com/itakayuki
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松下さんには、松下電器担当の「業務的秘書」がいましたが、私はどちらかというと、「思想秘書」。松下さんの考えることや思うことを聞いたり確認したりという、思想面というか、考え方の面での仕事もしていました。  

松下さんは、私に大抵は雑談で話しをします。しかし、その雑談は単なる雑談ではありません。松下さんの思想であり、哲学です。雑談だからといって聞き逃すことはできない。ですから、これもメモしよう、あれもメモしておこう、という思いで最初からメモをとるようにしました。

もちろん仕事の話、特に後半は秘書の仕事だけではなく、PHP研究所の経営も担当しましたから、そういう経営に関する話も当然するわけですが、それでも会っている時間の7割ほどは、雑談。経営、哲学、政治、経済、教育、社会全般にわたりました。時に、個人的な話もよくしてくれました。今考えても、よく話し合ったと思います。土曜も日曜もなく、夏休みや年末の休みもなく呼び出され、年がら年中、お互い雑談をしていました。