マッサージは優しく10分程度で

「慢性疲労に対して、強いマッサージは厳禁」です。マッサージは、少し物足りないぐらいのところで切り上げましょう。マッサージ店で施術を受けるにしても、自分の手でマッサージするにしても、「なでるくらいの力加減で10分程度」でじゅうぶんです。ソフトタッチのマッサージでも、筋肉に対するマッサージ効果は発揮されます。重い荷物を運んで疲れたときや、休日にスポーツをしたために張りを感じるときなどは、この目安に沿ってマッサージを活用するのもいいと思います。

しかし、この目安を超えたマッサージとなれば、受けても意味がないどころか、断るのが正解です。マッサージよりも、後に紹介する「関節ストレッチ」を行うべきと言えます。

筋肉量を増やしても疲れにくくはならない

筋肉と言えば、近年は筋トレがブームになっています。疲労対策として行う人も少なくないようです。ただし、疲労との関連では誤解されていることが多いので、注意が必要です。

まず、疲労対策に筋トレをする根拠として、「筋力がないから疲れるのだろう」「筋肉がきちんとつけば疲れも吹っ飛ぶに違いない」という思い込みがあるようですが、その根拠は誤りです。筋トレが慢性疲労の切り札になるならば、一般的に筋肉がつきにくい高齢者や女性はあきらめざるを得ませんが、そんなことはありません。

また、筋力があれば疲れと無縁でいられるのなら、スポーツ選手たちが悩みを抱えることはないはずですが、実際は違います。私がオフィシャルメディカルアドバイザーを務めている千葉ロッテマリーンズの選手たち。プロボクシングの現世界チャンピオン・井上尚弥選手や、元世界チャンピオン・内藤大助さんなど、究極とも言える筋肉を持つ多数のアスリートたち。実際に私が治療やアドバイスをしたアスリートたちが、プロ・アマを問わず、疲労や腰痛・首痛などの関節痛と闘っていました。

さらに、筋肉の少ない人は必ず疲れやすいのかと言えば、これもまた間違っています。たとえ筋肉量が少なくても、慢性疲労と無縁の人はたくさんいます。

そして実は、あなたにもそんな時代があったのです。小学生時代のあなたは、現在よりも筋肉量が少なかったはずです。もちろん、体格も小さかったわけですが、強豪のスポーツクラブなどに所属していた人でない限り、熱心に筋トレなどしていなかったでしょう。それでも、「なにをしたって疲れてしまう」「ひと晩眠っても疲れが抜けない」ということはなかったと思います。

要するに、慢性疲労を解消するうえで、筋トレをして筋肉量を増やす必要はないということです。