慢性的な疲れを解消しようと、定期的にマッサージへ通う人がいる。だが多数のプロスポーツ選手を担当する柔道整復師の酒井慎太郎氏は「マッサージで軽減するのは軽い筋肉レベルの疲労だけ。慢性的な疲れに対して、強いマッサージを受けるのは逆効果だ」という――。

※本稿は酒井慎太郎『絶対に疲れない体をつくる関節ストレッチ』(KADOKAWA)を再編集したものです。

マッサージを楽しむ若者
写真=iStock.com/urbazon
マッサージを受けても疲労感が改善しないときは、関節異常を疑ったほうがいい(※写真はイメージです)

マッサージを何回受けても根本的改善にはならない

疲労対策としてマッサージ店に通う人をよく見かけますが、いくらマッサージを受けても慢性疲労は解消しません。

冷静に考えれば、マッサージを何回受けても疲れがすぐにぶり返すからこそ、定期的に店へ足を運んでいるのではないでしょうか? それがなによりも、問題が根本的に解決していない証になっているはずです。

なかには、1~2回のマッサージで体が楽になったケースもあるでしょう。それは、感じていた疲れが主に筋肉レベルの一過性の疲れであったため、マッサージがたまたま功を奏しただけのことです。つまり、マッサージで解消できるのは、一時的な筋肉疲労や筋肉痛などの「筋肉レベルでの疲労」だけということ。問題が筋肉レベルで済まされない疲労=「関節トラブルに端を発している慢性疲労」の場合、マッサージをいくら受けても、ほとんど効果は得られないのです。

マッサージが効かないのは「関節異常」のサイン

それにもかかわらず、「弱いマッサージだから効かないんだ」と誤解している人が、いまだに多いのが実情です。「マッサージが効かない」あるいは「マッサージで楽になっても、すぐにまた疲れてしまう」という場合は、関節異常が起こっているサインと受け取るべきです。

この点を理解せず、強いマッサージを安易に受けてしまうと、筋肉組織を傷つけて軽い炎症を招く可能性があります。さらに、硬直した筋肉を強く押し込むことで、奥にある関節を間違った方向へ固まらせてしまうリスクまであります。