3年ぐらいドイツで過ごしたあと、今度は冬だけ米国のテキサスに行きます。その頃はもう30歳近くになっていたので、ドイツ時代のような激しい練習はできない。それを見越して、コーチは「試合から逆算して何をすべきか」という効率のよいトレーニングをする人でした。つまりこちらも年齢を重ねた分、練習量を確保しないといけないのですが、1日の練習量が多すぎると次の日までにリカバリーができなくなる。

そうなると結局、トータルで見たときの練習量が少なくなってしまう。なので、「今日はもうこれ以上やるとまずい」というところでちゃんと終わらせるという練習に変わったのです。それこそメーンの練習は1.5時間くらいになった。いちばん効果が得られるトレーニングを毎日しているので、トータルすると、1年かけてすごくいい練習ができている状況になる。そういう意味では、非常によく考えられたプログラムだったと思います。

45歳で、僕より足の速い人の練習法

結局、トレーニングは質と量の掛け算です。練習量が少なかったら、生活時間のどこかを削って頻度をあげるしかありません。

僕は現役を引退しましたが、2018年からマスターズ選手権などに出場して走っています。しかし選手時代とは体がまったく違うので、18年は3回も肉離れを起こしてしまいました(笑)。それで、週1回、体づくりをして、やっとケガをしない体になったけれど、やはり週に1回ではタイムが伸びません。

ほかのマスターズの選手たちの話を聞くと、やはり仕事があるから時間がない。いつ練習しているかというと、早朝。水口政人さんという僕より速い45歳の人は、毎日3時に起きて4時から1時間、坂道ダッシュをする。それから仕事に行く生活を5年間続けているという。

やっぱり練習は量と質の掛け算なので、トータルの量がどうしても必要になってくる。それを考えると、僕のように週に1回ドカンと練習するよりは、30分でもいいので必ず1日1回は走るような習慣をつけるほうがいいでしょうね。

(構成=長山清子 撮影=松本昇大)
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