バブル期入社組の役職定年で、氷河期世代が管理職に「全入」
政府は今年4月から就職氷河期世代の本格的支援に乗り出す。
3年間で650億円超の予算を費やし、非正規社員やフリーター、ニートに対してより処遇のよい企業への就職など、正社員を30万人増やすことを目指している。
氷河期世代とは、バブル崩壊後の1993年から2004年が学校の卒業時期に当たる世代。不況で企業の採用数が激減し、就職が厳しかった時期であり、大学卒の場合、今年4月には38歳から49歳(高卒34~45歳)になる。
政府の統計では氷河期世代(35~44歳)のフリーターや無業者が約100万人もいる。
時代の巡り合わせで就職できなかったり、能力開発の機会が少なかったりした世代に対し、遅きに失したとはいえ、国が支援策を講じるのは当然だろう。
その一方で就職氷河期をくぐり抜けて企業に入社した社員は管理職適齢期を迎えている。この世代の先輩であるバブル期入社組(1986年~91年)は今年52~57歳になる。この世代が役職定年などで管理職を退き始めており、その後のポストに座るのが氷河期世代だが、実はやっかいな問題を抱えている。
明らかに管理職に不適格な氷河期世代の社員もいる
飲料メーカーの人事担当者はこう語る。
「社員の最大のボリュームゾーンだったバブル期入社組の管理職が55歳を機に役職定年でポストを降ります。しかし、その後の世代が採用を控えた世代ですし、バブル世代の半分の人数しかいない年代もあります。このままいけばほとんど全員が管理職になる“全入”時代に突入することになりますが、中には明らかに管理職に不適格な社員もいる。以前からわかっていたことと言えばそれまでですが、中途採用もなかなかうまくいきませんでした」
大手企業の人事部の間でも“管理職全入時代”が以前からささやかれていたが、いよいよ現実味を帯びつつある。
全入時代は大学入試でよく使われる言葉だが、要するに能力に関係なくフリーパスで管理職になれるという意味だ。しかし大学と違い、管理職は部下の育成・指導を含めて会社業績を左右する第一線の要である。