思いつきで企画を立てると、失敗する

しかし時間になっても社員は来ない。オフィスにいる社員に声をかけて、なんとか5名が集合。

その日、私は社長が「クリスマスパーティやりました」というメッセージともにSNSに投稿した写真を見た。

社員の表情が硬い。社員2名がスーツ姿のままサンタ帽子をかぶり、ぎこちなく笑っている。机の上には大量のスナック菓子とお酒が手つかずのまま残っていた。

一方で私のSNSのタイムラインには、他の会社のクリスマスパーティの様子も流れていた。飾り付けも華やかで、社員はドレスアップしたり、トナカイやサンタの格好をして集合写真でVサインを決めたりして凄い盛り上がり。楽しそうな雰囲気が伝わってくる。思わずタイムライン上で比較してしまう。

「これって、むしろ逆効果じゃないの?」

この社長は「社内がドンヨリしているから、クリパで一体感を持たせて、ついでに会社の宣伝もしよう」とひらめき、イベントを企画している。これはスジがよくない企画である。思いつきで企画を立てている限り、失敗を続けてしまうのだ。思いつきの企画が成功することもあるが、それはマグレであり再現性はない。

「課題」がわからなければ「解決策」も的外れ

企画にはヒラメキも大切だが、ヒラメキだけでは失敗するのだ。企画には必要な型、言い換えればプロセスがある。

・そもそも、どんな問題を解決するのかを決める
・その上で、相手の課題をしっかりと理解する
・課題の解決策を考える。これが企画だ
・共感する人たちを巻き込み、企画を実行する
・成果を出す

こう考えると、社長が失敗した理由がわかるだろう。

・まず問題の捉え方が表面的だ。そもそも「なぜ社内の雰囲気がどんよりしているのか」を考えていない
・そして相手である社員の課題も理解していない
・課題がわからないから解決策(=クリスマスパーティ)も見当外れである
・社長の独断で企画を立てていて、社員を巻き込んでいない
・結果、成果が挙がらずむしろ逆効果だった