成功する企画には「型」がある
ではどうすればいいか? 成功する企画の「型」を理解することだ。今回の場合、企画はこのような流れで進めていくべきだった。
②相手の痛みを考え、バリュープロポジションを考える
③実行計画を立てる
④実行して検証する
⑤成果を見える化する
ここで役立つのが「テンプレート」である。私も常にテンプレートを使い、テンプレートに沿って企画を考え、実行し、結果から常に学んでいる。テンプレートは、メリットが多いのだ。
・やるべきことも明確になる。
・企画を考えて実行する際の効率も上がる。
・さらに企画の成功確率も上がる。
そもそも企画が100%成功することはあり得ない。必ず失敗する可能性がある。しかしテンプレートで考えれば、企画が失敗する可能性は大きく下がる。そして失敗した場合も、どこが悪かったのか、どのように改善すればいいのかが、後から検証できる。
テンプレートを使わないとどうなるか? 企画は行き当たりばったりの思いつきで考えることになる。失敗してしまうことも多い。さらに失敗しても何が悪かったのかが検証できない。だから成功確率もなかなか上がらない。さらに仕事の効率も下がる。
では、今回、あの社長はどうやって企画を進めればよかったのか? ポイントは最初の「①解決すべき問題を定義する」にある。問題の定義を間違えているのだ。
出発点は「現状」の理解、それから「あるべき姿」を決める
企画の出発点は、問題を正しく定義することだ。社内イベントでも同じである。最初に「何故やるのか?」を考え、問題を正しく定義した上で「何をやるのか?」を決める。
社長はこのように考えていた。
「社内の雰囲気がどんよりしている→クリスマスパーティをやろう」
「雰囲気がどんよりしている」のは単なる現象だ。そもそも「雰囲気がどんよりしている」原因が何なのかを正しく理解していないから、クリスマスパーティがイタい失敗に終わったのだ。
まず「どんよりしている」という現状を具体的に捉える。次にあるべき姿を考え、現状と比較する。その差がギャップである。
その上で、ギャップが生じている原因を分析する。しかし考えるだけでは原因はわからない。実際に状況を観察して事実を把握し、何が起こっているのかを理解することだ。
この会社では、仕事の効率を上げるために社員は一人一人仕切りに囲まれた机で仕事をしていて、社員同士のやり取りはチャットで行われていた。シェアオフィスで仕事をすることも多く、社員同士の対面コミュニケーションがほとんどなかった。
入社数年目のある女性社員はこう語る。
「毎朝会社に来て自分の席に座り、パソコン上で仕事して、夕方6時に帰るだけの生活。たまに上司と話す他には、誰とも話さない。昼食も一人。なんか孤独です……」
つまり社員同士のコミュニケーションが圧倒的に足りないために社員同士の連帯感が生まれず、社内がどんよりしているのだ。
ギャップと原因がわかれば、解決すべき問題もわかる。
必要な対策は、意識的に楽しめる対面コミュニケーションを増やすことで、社員同士の距離を縮め、お互いに理解を深めることだ。
問題定義テンプレートで考えると、図のようになる。