認知症の対応チェックリスト
図を拡大
認知症の対応チェックリスト

このほかにも入居前に確認しておくべき項目がある。中でも医療体制に関しては最も注意すべきである。終身利用を謳っている施設でも、病状が悪化した段階で入院させられて二度とホームに戻ってこられないケースもあるからだ。

「点滴管理などはほとんどの施設が対応してくれますが、経管栄養、人工肛門、の対応をどこまでやってくれるのか。本当に看取りをしてくれるのか、医療と介護の連携は確認しておきましょう。グループホームの場合は認知症への対応を具体的にチェックします。チェックリストを作って説明を受けた人のサインを取り付けておくと、あとで言った言わないの騒ぎに発展せずに済みます」と上岡氏。継続的に実施することが必要なリハビリ訓練への対応、感染症対策なども必ず聞いておく必要がある。

また、医療に関しては、在宅医や専門病院を施設側が決めたところでしか利用できない、いわゆる自由度のない施設は避けたほうがよい。かかりつけ医との関係は一朝一夕で成り立つものではない。入居者が信頼している医師との関係性を入居後も大切にしてくれるかどうかは、老人ホーム選びの決め手と言えるかもしれない。

後悔する前に、貪欲に質問する。老親の暮らしをあらゆる方向からイメージして、考えられるシチュエーションを提示して質問することが、間違いのない老人ホーム選びを成功させてくれる。聞かぬは一生の恥なのである。

※すべて雑誌掲載当時

依田 平●ケア21社長
1993年、大阪に学習塾「ヨダゼミイースト」設立。99年ケアにじゅういち(現ケア21)に商号変更。在宅介護ステーション、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービスを運営。その拠点は100ヵ所を超える。

片山ます江●伸こう福祉会 専務理事
大阪府出身。1986年、第一号老人介護施設「グラニー鎌倉」オープン。98年、サービスの質向上を追求し介護施設では初めてのISO9001を取得。以後、グループホーム、特養、ショートステイ、デイサービス施設、認可保育園を設立。

上岡榮信●有料老人ホーム入居支援センター 理事長
フリーランス通訳として大手企業や有料老人ホーム会社の海外視察、研修、調査の企画、手配を手がける。これまでに海外で、700件、国内で200件の施設を訪問。著書に『絶対に失敗しない有料老人ホームの選び方』がある。

(永井 浩=撮影)