視野が広がり、周りが見えてくるようになる

先程のやり方以外にも、時計をはずす、指でゆっくり5つ数えるなども有効です。自分なりのルーティンを考えてみるのもいいですね。怒り、悲しみ、つらさ……自分の気持ちに気づくだけで、その気持ちが軽減していくのです。

思考の選択肢を増やすと、行動の選択肢が増えていきます。

高圧的な上司に一方的に責められる、という場合、はじめは「黙って耐える」という選択肢しかなかったのに、「意見を主張する」「静観する」「謝る」「相手の主張を心で文章化してみる」などの対応法を選べるようになります。視野が広がって、もっとも建設的な反応を選べる、一瞬の「間」が生まれるのです。

ストレスでいっぱいになると、どんな人でも視野が狭くなるものです。このことを「視野狭窄」と言います。眼科の分野でも使われる言葉ですが、ここでは心の視野が狭くなることを指しています。

メタ認知を育むマインドフルネスを実践していくと、視野が広がって、周りが見えてくるようになります。

「同僚はAさんにもきついことを言っている。Bさんにもきついことを言っている。よく見たら、関わる人全員にきつい物言いをしている。なんだ、私の問題じゃなくて、同僚のコミュニケーションのパターンなんだ」と思えるようになる。

マインドフルネスを実践していると、視野が広くなり、当事者同士だけでなく、周りの人との関わりが見えてくるようになるのです。

五感が鈍ったら要注意。「心のケア習慣」を

最近、濃い味じゃないと食べた気がしない、という患者さんが増えているように感じます。

川野泰周『会社では教えてもらえない 集中力がある人のストレス管理のキホン』(すばる舎)

これは、常に膨大な量の情報にさらされているため、「注意資源」(脳が一度に向けられる注意力の総量)をほとんど全て外部から入ってくる情報を処理することに使い果たしてしまい、味覚などの感覚に注意を向けられなくなっている可能性を示唆しています。感覚、知覚が感じられにくくなっているのです。

そして、ありありとした知覚を楽しむことのできる感性が鈍ることは、「幸せを感じにくくなる」ことを意味します。

誰かを批判したくなる。怒りやイライラ、疲れを感じやすい。

そういったときは、まずは意識的にスマホを見る時間を短くして、気持ちの落ち着く場所に座って目を閉じてみましょう。

そして、自分の感情をゆっくり見つめましょう。

お茶を飲む、歩く。こうした、ひとつひとつの行動に集中することで、感性が開かれ、ちょっとしたことに喜びが感じられるようになり、自己肯定感が上がっていきます。すぐには効果が感じられないかもしれませんが、そういった意識をもって日々を生きることによって、必ずや心は健やかで、幸せな在りように向かって変化してゆくはずです。

今日この瞬間から始められる、自分自身のための「心のケア習慣」、ぜひ試してみてください。

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