一方で、自己肯定感の高い人は他人を必要以上に批判しないし、誰かから同意されることを強く求めたりしません。

なぜなら、自分で自分のことを「今の私はこういうあり方なんだよね」と認めているからです。相手のことも「相手には相手の事情があるのだろう」とすんなり受け入れることができ、ひいては「相手も大変だなあ」と労をねぎらう気持ちすら生まれるのです。

日本の有名なマンガ、「ドラえもん」に例えてみましょう。自己肯定感が健全に育っていないと、ドラえもんに登場する「スネ夫」的な態度になりがちです。

スネ夫はガキ大将のジャイアンにいじめられると、ジャイアンにやり返すのではなく、一番ひ弱なのび太に当たる。

こういうスネ夫的なタイプだと、周りから人が離れていってしまいます。

本人は「自分ばかりいつも人に恵まれない、環境に恵まれない」と感じているのです。

「マインドフルネス」で自己肯定感を上げよう

では、こういったスネ夫タイプの人が自己肯定感を上げるにはどうしたらいいのでしょうか? それは、自分の感情を丁寧に観察したり、目の前のことに集中する、つまり「マインドフルネス」を生活習慣に取り入れることです。

自分の心の動きを観察するのを習慣にすると、怒りの感情に取り込まれにくくなり、自らの感情と距離を置くことができるようなります。

「あいつはいつもひどい」といった批判的な心、怒りや「自分はどうせダメなんだ」という自責の念といった、ネガティブな感情に取り込まれなくなるので、心を穏やかで冷静な状態に保つことができるようになり、「自分をコントロールできる」という自信がつくのです。

そして、「自分が今イライラしているのは、あの人が関係しているかもしれない」「自分だけではなくて、あの人と関わる人の多くがこういう感情になっているんじゃないかな」と、状況を俯瞰して見られるようになります。こうした客観的に観察することのできる能力を「メタ認知」と呼びます。メタ認知が心の中に涵養されれば、何かを体験した時、心の中に生ずる反応の選択肢が増えていきます。

選択肢は「ムカつく」という、ただひとつしかないと思っていたのに、メタ認知ができてくると、例えば「ユーモアで返す」、「相手の心理を分析してみる」、「話題を変えてやり過ごす」といった具合に、その反応の選択肢がどんどんと増えていき、その中で一番建設的な思考を抽出することが可能になるのです。