お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さんの設立した会社が、東京国税局から所得隠しなどを指摘された。元国税調査官で税理士・産業カウンセラーの飯田真弓氏は、「無申告は納税の義務違反だ。だが、心の問題で納税手続きがうまくできない人もいる。むやみに徳井さんをバッシングするのではなく、反面教師として再起してもらってはどうか」という——。
「チュートリアル」の徳井義実さん
写真=時事通信フォト
設立した会社が申告漏れを指摘された問題で記者会見するお笑いコンビ「チュートリアル」の徳井義実さん(中央)=2019年10月23日、大阪市中央区

報道があった日、徳井さんは番組収録をしていた

みんなの人気者から一転、納税を怠る不届き者とバッシングを受け、芸能活動を自粛せざるを得なくなったタレントのチュートリアルの徳井義実さんについて、国税勤務26年、元国税調査官・税理士『税務署は見ている。』の著者である飯田真弓が思うところを少し書いてみたい。

不倫、交通事故、けんか、覚醒剤使用、などなど。芸能人の謝罪会見の理由はさまざまだ。今回、徳井さんが、申告と納税を怠っていたというニュースが報道されたのは10月23日。東京の吉本興業での記者会見が深夜になったのは、大阪の朝日放送で「ビーバップ! ハイヒール」の2本撮りがあったからだ。

女性漫才師の「ハイヒール」が司会を務め、毎回さまざまなジャンルの専門家を“かしこブレーン”としてゲストに招き、レギュラーメンバーと、フリートークやクイズなどをするバラエティ番組である。

実は、2019年9月12日、筆者もこの「ビーバップ!ハイヒール」に出演した。タイトルは、「元国税調査官が明かす! 怖~い税金トラブル」。

筆者はこれまでも日経電子版や税理士の専門雑誌などに税務調査に関する記事を書いてきた。著書としては『税務署は見ている。』『B勘あり!』『税務署は3年泳がせる。』『調査官目線でつかむセーフ? アウト? 税務調査』がある。番組では、これらの記事や本の中から脚本を作り、税務調査の実態について、再現ドラマにして紹介された。