ハズキルーペの代表が明かす経営哲学

松村謙三『自分の頭で考える CM賞3冠 ハズキルーペ』(KADOKAWA)

第3位の『自分の頭で考える』は、ハズキルーペを扱うハズキカンパニーの松村謙三会長渾身の一作です。CM賞3冠を飾ったハズキルーペのCMは、広告会社のクリエイターではなく、経営者である松村会長自らが先頭に立って制作していました。だからこそ、広告業界の慣習やしがらみを乗り越えることができたといいます。

また本書では、ハズキルーペという商品ができた経緯についても語られます。松村会長はもともと企業買収と再生を生業としていました。ハズキルーペの誕生も企業買収がきっかけだったようです。有力ファンドたちとの買収交渉のエピソードはスリリングで、ここにも「自分の頭で考える」という著者の哲学が見て取れます。

前例や慣習にとらわれずに動くのは、実際にはなかなか難しいもの。しかし本書を読むと、信念を貫くことの重要性があらためて感じられるのではないでしょうか。

「ホウレンソウ」ではなく「ザッソウ」

倉貫義人『ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」』(日本能率協会マネジメントセンター)

ここからは4位以下の書籍から、注目の書籍をご紹介します。

まずは、第10位の『ザッソウ 結果を出すチームの習慣』です。「ザッソウ」とは雑談・相談のことで、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」に代わるフレームワークです。

なぜホウレンソウではなく、ザッソウなのでしょうか。著者の倉貫義人氏は、かつて自ら立ち上げた会社で効率だけを追い求めてしまい、失敗した経験があります。そのときに、気軽に雑談や相談ができることの重要性を学び、「雑談と相談」をすることを「ザッソウ」と名付けて推進するようになったのです。

ザッソウの機会が増えると、お互いの価値観や強み、弱みなどが見えてきます。すると相互理解が深まり、心理的安全性が確保され、新しいアイデアも生まれてきやすくなるそうです。こうした循環ができることで、生産性が上がり、働く人の幸福度も高まるという主張には、説得力があります。チーム力を高めたいすべての方におすすめの一冊です。