これからの社会を生き延びるには、なにが必要なのか

瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)

今月の1位は『僕は君たちに武器を配りたい』でした。2019年8月10日、エンジェル投資家であり京都大学でも教鞭をとっていた瀧本哲史氏が亡くなりました。47歳という若さでした。

本書は、2011年に出版された、瀧本氏の代表作のひとつ。まさに資本主義という戦場を生き延びるための「武器」そのものと言えます。これからの社会を生き延びるには、既存の枠組みの中で努力するのではなく、資本主義のルールをしっかり理解したうえで、アクションしなければならない――瀧本氏はそう説きました。そしてそのためには、自らの教養を深めていくことが不可欠です。

教養とは古臭い選書リストを眺めることではなく、自分が見知らぬ地平を探求していく過程からしか得られません。本書で得られた「武器」を携え、真新しい場所を積極的に切り開いていける人が1人でも多くなることを、きっと瀧本氏も望まれていることでしょう。

2020年の5G元年にどう備えるのか

亀井卓也『5Gビジネス』(日経文庫)

第2位にランクインしたのは『5Gビジネス』です。2020年は日本にとって5G(第5世代移動システム)元年となります。4Gから5Gへ移行することは、一般的には通信速度アップのための施策として認識されています。しかしそれは5Gの一側面にすぎません。5Gは私たちのライフスタイルそのものを大きく変える可能性を秘めており、あらゆる分野に新たなビジネスチャンスをもたらすでしょう。

本書は5Gという技術そのものを解説するだけでなく、消費者やビジネスに与える影響についても解説した、まさに「5Gビジネス」の入門書です。5Gのもたらすメリットだけでなく、プライバシー情報を抱えるリスクや、都市と地方でのデジタル格差の拡大など、憂慮するべき点についても紹介されています。これからのビジネス環境の変化に関心を持っている人であれば、一度は目を通しておくことをおすすめします。