「『日本へのヘイト』との批判もあきれる」と朝日社説
朝日社説は「慰安婦に着想を得た少女像や昭和天皇を含む肖像などが燃える映像作品に対して、『日本へのヘイト』との批判も飛び出した。これもあきれる話だ」と書く。
この朝日社説が掲載された2日後、沙鴎一歩が冒頭に書いたように産経社説は「ヘイト行為に目をつむる朝日の主張には心底あきれる」とかみついた。
もっともこれよりも早い時点で、産経社説(10月9日付)はこう書いている。
「再開された8日は、警備を強化し、入場人数も制限された。しかし展示内容は変わっていない。脅迫は論外としても、広範囲に起こった批判を実行委員会が真剣に受け止めたとは思えない」
「昭和天皇の肖像を燃やす動画の展示などは、日本へのヘイト(憎悪)そのものである。なぜ多くの人が憤ったか。あまりに軽く考えてはいないか」
朝日社説の「『日本へのヘイト』との批判」とはこの産経社説を指したのだろう。朝日社説はこの時点で、「産経社説によると」と明記すべきだった。
あきれるだけでなく、反論しなければ、議論は前進しない
さらに朝日社説は書く。
「表現の自由への過度な制約にならぬよう、規制すべきヘイト行為とは何か、社会全体で議論を重ね、定義づけ、一線を引いてきた。明らかにそれに当たらない作品をヘイトと指弾することは、蓄積を無視し、自分が気に食わないから取り締まれと言うだけの暴論でしかない」
10月18日付の産経社説は「どこに一線を引くのかこの社説は語っていない」とも批判し、さらに「ヘイトスピーチ解消法は欠陥だ」と指摘する。朝日社説はこのあたりをどう考えているのか。きちんと答えてほしい。
最後に朝日社説はこう主張する。
「ゆるがせにできない課題が数多く残されている。閉幕で一件落着ということにはできない」
ならばこそ、である。産経社説に反論してほしいと思う。そうすることで議論が深まり、私たちの社会が良い方向に前進していくからだ。