産経がかみついてきた事実を無視するのは納得できない

「社説は新聞の看板だけど、そのためには力のある社説、常に闘う社説でなければならい。その相手は強力な権力であったり、不健康なナショナリズムであったりと、いろいろだが、闘うためにはその作戦を練り、大いに知恵を働かさなければならない。社説の闘いとは世論の陣地取りだと心得ている」

若宮啓文『闘う社説 朝日新聞論説委員室 2000日の記録』(講談社)

かつて朝日新聞の論説主幹を務めた若宮啓文氏の著書『闘う社説 朝日新聞論説委員室 2000日の記録』(講談社、2008年10月発行)にはこう書かれている。

同書によると、朝日新聞論説委員室規定の第4条には「論説主幹は社説に関するすべてを取り仕切る」とあるという。

朝日社説のすべてを取り仕切ってきた若宮氏は「社説は常に闘うべきだ」と主張してきた。果たしていまの朝日社説は闘っているだろうか。

産経社説に突っ込まれ、批判されている。ここはしっかりと反論すべきである。このまま産経がかみついてきた事実を無視し続ければ、議論が深まらないばかりか、両紙を読み比べている読者としても納得できない。読者不在だ。

「新聞社説は闘うことを忘れてはならない」。社説が新聞の看板であるからこそ、沙鴎一歩もこう主張する。

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