香港政府は「逃亡犯条例」を正式に撤回したが…
香港から目が離せない。
9月4日、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が、大規模デモの引き金となった「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回した。異例の譲歩だが、デモが収まるかどうかは不透明だ。
中国政府は10月1日の国慶節(建国記念日)までに香港の混乱を収拾したいと考えているのだろう。8月30日には、民主的選挙を求めた5年前の抗議活動「雨傘運動」のリーダーたちを相次いで逮捕している。
逮捕されたのは、民主派団体「香港衆志」幹部の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏(22)と、同団体の周庭(アグネス・チョウ)氏(22)。黄氏は雨傘運動のリーダーとして米『タイム』誌の表紙に取り上げられたことがある。雨傘運動に関連して実刑判決を受け、今年6月に出所したばかりだった。一方、周氏は「雨傘運動の女神」と呼ばれ、6月に来日して記者会見を行うなど日本でも知られている。
2人は30日午後に起訴され、夜までに保釈された。容疑は今年6月、デモへの参加を呼びかけて100万人を超す市民を動員し、警察本部などを包囲したというものだ。