10月1日の国慶節までに混乱を収拾したいと必死

黄氏と周氏だけではない。香港警察は29日夜、活動禁止中の「香港民族党」代表、陳浩天(アンディ・チャン)氏(28)も暴行容疑で逮捕し、30日には民主派議員数人の身柄も拘束している。

香港では政府トップの行政長官を選ぶ選挙に事実上、民主派が立候補することはできない。5年前の8月31日に始まった雨傘運動は、この選挙制度への抗議がきっかけだった。

民主派団体は今年の8月31日にも大規模なデモを計画したが、香港政府はデモを認めず、反対に民主化運動のリーダーたちは相次いで逮捕されてしまった。

香港政府は傀儡かいらいだ。いずれも中国本土からの指示があるとみられる。中国は建国70周年となる10月1日の国慶節までに香港の混乱を収拾したいと必死なのだろう。

中国による武力介入が始まる可能性がある

8月31日、それでも学生や市民は民主化を求めてデモに参加した。雨が降りしきるなか、香港警察は催涙弾を発射。放水車からは青色に染められた水が放たれた。デモ隊は催涙ガスと放水の水圧に次々と倒れた。日本のニュース番組でもデモ隊と警察隊が衝突するシーンが流れた。

デモ隊の強制排除や身柄拘束による弾圧だけでなく、香港政府は非常事態に対応する条例を発動することを検討している。それでも事態を収拾できない場合、中国による武力介入が始まる可能性がある。具体的には駐留軍の出動や、広東省深圳に集結する武装警察部隊の投入だ。

一方、中国の習近平(シー・チンピン)政権は香港政府による沈静化を望んでいる。なぜなら武力介入は国際社会から強い反感を買うことになり、自らの手を汚すことになるからである。