トランプ氏は香港問題を使って中国を牽制する

アメリカのトランプ大統領は30日、「(米中の)貿易協議がなければ、より大変な事態になり、もっと暴力的なことが起きているだろう」と中国を牽制した。

9月1日には、中国からの輸入品3200品目余りを対象に15%の関税を上乗せする措置を発動した。これに対抗し、中国もアメリカからの輸入品1700品目余りを対象に最大で10%の関税を上乗せする措置を発動した。

米中の貿易戦争が激しくなるなか、トランプ氏は中国の痛いところを巧みに突こうと狙っている。それが一国二制度による統治が混乱している香港である。

こんなときこそ日本は動くべきだ。安倍晋三首相はトランプ氏と親しい。トランプ氏の大統領就任直後に、他国のだれよりも早く、アメリカに駆け付けたほどだ。2人はかつてない蜜月の日米関係を構築している。中国など世界の国々もそれを知っている。その有利さを使わない手はない。蜜月の日米関係を使ってこそ、本物の外交と言えよう。

日本はトランプ氏の「虎の威」を借る狐になれ

では安倍政権はどう動けばいいのか。答えは簡単だ。中国に恩を着せればいいのである。

中国の習氏は貿易交渉でトランプ氏を相手に頭を悩ませている。米中関係は最悪の事態にある。しかも中国は香港の民主化運動で立ち往生している。このままだと国慶節どころでなくなる。トランプ氏にも香港問題を突かれている。

日本はアメリカと中国との間に入って仲介役を務めればいい。いきなり貿易交渉に第三者の日本が手を突っ込むわけにはいかないから、まずは香港問題だ。日本はトランプ氏の「虎の威」を借る狐になって、中国に対し香港の民主化に理解を示すよう説得すべきだ。

たとえば虎の威を借りた日本が中国を動かし、中国と香港政府、アメリカそれに旧宗主国のイギリスなどに呼びかけ、「香港会議」のような国際会議を開催するもひとつの手だろう。