紙の書類を整理する際の分類法は「カスケード方式」

私は、情報量が爆発的に増えているデジタル時代の整理においては、「分類」をしてはいけないと考えています。「超」メモ帳のキーワード検索では分類を行っていますが、これは矛盾するわけではありません。なぜなら、分類には2つの異なる方法があるからです。

分類方法の第1は、上位概念から下位概念に向けてつぎつぎに分類していく方式です。生物の分類は、この方式で行われます。まず生物を動物と植物に分け、次に動物は脊椎動物と無脊椎動物に分け、前者は哺乳類、鳥類、爬虫類などに分けるという方式です。紙の書類や図書館の書籍などの整理も、普通はこの方法によって行われています。この方式を、「カスケード方式」または「フォルダ方式」と呼ぶことにしましょう。

紙のメモ帳の場合にも、この方式に従って分類している人が多いでしょう。例えば、まず仕事用とプライベート用を区別し、つぎに仕事用であれば業務内容別等に分類するということです。

とにかく時間順に並べることを徹底する

広く使われているカスケード方式ですが、問題もあります。

まず、分類項目を適切に設定しないと、ある対象が複数のフォルダに属するという事態が生じます。例えば、「IT企業に対する課税」についての原稿は、「税」フォルダにも入りうるし、「IT」フォルダにも入りえます。これを「IT」のフォルダに入れることにすると、「税」のフォルダをいくら探しても見つかりません。

また、仕事の内容が変わってくると、古い分類項目では適切に機能しなくなります。例えば、従来は「日本経済」に分類していた人口高齢化に関する原稿が増えてきた場合、新しく「人口高齢化」という分類項目を立てるほうが便利です。しかし、すでに「日本経済」のフォルダに入ってしまっているものを移すのは、面倒です。

そこで、内容による分類項目を一切廃止し、時間順にファイルを並べて、「MTF(Move‐to‐front:使用したデータをリストの先頭に送る)とLRU(Least recently used:最後に使われてから時間の経ったデータから捨てる)の原理」によって文書を整理するというのが、「超」整理法の考え方なのです。紙のメモ帳の場合にはMTFを実行できないので、時間順にメモを書いていくしか方法がないでしょう。