スマートフォンの「メモ帳」を活用できているだろうか。「超整理」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は、「音声入力とグーグルドキュメントを組み合わせることで、無限といっていい量の情報を扱えるようになる」と説く。そのやり方とは――。

※本稿は、野口悠紀雄『「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kupicoo)

グーグルドキュメントをメモ帳とする利点

近年、AIの技術を個人も使えるようになってきました。AIによる音声入力機能や画像認識機能などをスマートフォンで利用できるようになったのです。ITの活用によって生産性が向上したように、AIをうまく利用すれば、仕事も生活も大きく変わることでしょう。ただし、新しい技術を使いこなすためには、これまで習慣的に行ってきたPC(パソコン)やスマートフォンの使い方を大きく変える必要があります。

私は、2015年頃から、原稿やメモを書く際に、音声認識を用いてグーグルドキュメントに入力する方式を採用していました。グーグルドキュメントとは、グーグルが無料で提供する文書などの編集ソフトです。書きかけの原稿は自動的にクラウドに上げられるので、どの端末からアクセスしてもその原稿を閲覧・編集することができて、大変便利です。

ところが、文書が増えてくると、これらをどのように管理したらよいかが、重大な問題になってきます。ファイルの名前は必要なファイルを見いだすための重要なキーですが、ファイル数が多くなると、これだけでは目的のファイルを引き出すことができなくなります。

「ファイルがいくら増えても気にしない」方針転換

グーグルドキュメントに書いていたのは、主として、作成途中の原稿やメモでした。そこで、ファイル名で引き出しやすくするために、完成原稿にまで至ったものや使用済みファイルは、できるだけこまめに削除していました。しかし、数が増えてくると、削除作業が追いつかなくなってきます。グーグルドキュメントでは、削除は面倒な作業なのです。

そこで、「捨てる努力をやめて、検索で目的のファイルを引き出す」「ファイルの数はいくら多くなっても気にしない」という方針に転換したのです。すると、用途が一挙に広がりました。それによって誕生したのが、「超」メモ帳です。

スマートフォンにデフォルトで入っているメモ帳のアプリではなく、グーグルドキュメントをメモ帳とすることの明らかな利点は、データがクラウドにあるため、どの端末からもアクセスできることです。スマートフォンのメモ帳にも「共有」という機能がありますが、共有するには操作が必要です。大した手間ではありませんが、操作が必要なことは間違いありません。それに対して、「超」メモ帳の場合には、まったく何の操作もせずに共有ができるので、便利なのです。