音声入力なくして検索の利便性なし

グーグルドキュメントを検索するためのキーワードは、それをファイルに記入する場合も、また検索画面に入力する場合も、音声入力で簡単にできます。したがって、長めのものであっても簡単に入力することができるのです。

私はこれまで、音声入力で長い文章が書けることに注目していたのですが、それだけではなく、検索に音声入力が使えるというのが重要な点です。

ここで提案している検索の仕組みは、音声入力がなければとても面倒で、使いこなせません。音声入力は、AIのパタン認識技術によって初めて可能になった入力の方法です。したがって、ここで提案するメモ帳は、「AI時代のメモ帳」であるということになります。

もう少し正確に言うと、AIのパタン認識技術とデータのクラウド保存、そしてスマートフォンによるコンピュータの小型化、という3つの技術が使えるようになって初めて可能になったメモ帳です。これらのどれか1つが欠けても、「超」メモ帳は実現しません。

「超」メモ帳はこうした技術を利用しているので、これまでのメモ帳とは比べ物にならないほど強力なものになるのは、当然のことです。

超強力な外部脳が誕生した

このメモ帳は、「無限」と言える量の情報を扱おうとしています。もちろん、数学的な意味での無限ではありませんが、人間の感覚から言えば無限です。「超」メモ帳を使っていると、「きわめて強力な外部脳が誕生した」と感じます。

「AI時代の」と言うと、いかにも仰々しい感じがしますが、実際に必要な道具は、スマートフォンだけです。ですから、誰でも、すぐに始めることができます。

ただし、重要なことがあります。それは、「いらないものを捨てる」「重要なことだけを書き残す」という考えから脱却することです。これは、人間の本能なので、克服するのは容易ではありません。この本能を克服して初めて、「超」メモ帳を駆使することができます。

野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
一橋大学名誉教授
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。近著に『入門 AIと金融の未来』『入門 ビットコインとブロックチェーン』(PHPビジネス新書)など。
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(写真=iStock.com)
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