個人が管理する情報の量が爆発的に増加している。特に写真データは扱いが難しい。どう活用すればいいのか。「超整理法」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は、「情報を“捨てる”ことをやめて、とにかく溜め込んで瞬時に引き出す工夫が必要だ」と説く。その方法とは――。

※本稿は、野口悠紀雄『「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/ricardoinfante)

大量の写真をどのように管理すればいいのか

人間とコンピュータの距離が縮まり、コンピュータを誰でも簡単に使えるようになりました。その結果、個人が持つ情報の爆発的増大という事態が生じています。

まず第1は、音声入力で作成したテキストデータです。音声入力によって、従来の10倍くらいのスピードで書くことができるようになりました。しかも、いつでもどこでも入力することができるうえ、クラウドにいくらでも保存しておくことができるため、文章の量が飛躍的に増大します。

画像データも増えています。写真を撮って保存するコストが急速に低下しているので、メモのために大量の写真を撮るようになったからです。

フィルム写真の時代には、いつでもカメラを持ち歩いているわけではありませんでした。そして、フィルム代や現像代やプリント代がかかり、保存場所の制限もありました。したがって、写真を撮るのは、運動会、遠足、旅行などの特別な場合に限られていたのです。

ところが、いまでは、いつも携帯しているスマートフォンで簡単に写真を撮れるようになりました。このため、新聞記事も名刺も駅の時刻表も写真に撮る、紙に書いたメモも写真に撮る、といったことになりました。記録に残しておきたいことは何でも、その場で写真に撮るようになったのです。

保存量の上限は考えなくてよくなった

ただし、つい最近までは、撮った写真を無制限に保存できるわけではなかったので、写真をいくらでも撮るということはありませんでした。ところが、グーグルが提供するグーグルフォトというサービスが、無料で事実上無限量の写真を保存してくれるようになりました。これによって、コストや容量を意識することなしに写真を撮れるようになったのです。これは、写真に関してこれまでわれわれが持っていた考えを、根底から覆すものです。

こうして、写真の整理システムを構築することが、重要な課題になりました。写真を撮ること自体は誰にもできる簡単な作業ですが、問題は、「大量の写真をどのようにして管理したらよいか」というシステム作りのノウハウになったのです。