新社会人に教えたい「給与明細の読み方」

4月より新社会人として働き始めた若い読者の方は、仕事にも慣れて若干余裕が出てきたころでしょうか。

おそらく人生経験豊富な職場の先輩、ご両親などから「将来、あるいは万が一のとき」のために余裕をもったライフプランを立てるよう勧められ、どうしようか迷っていらっしゃる方もいると思います。実は皆さんはすでに「4つの保険」に加入していることをご存じでしょうか。

4つの保険とは何か? それは、皆さんの給与支払明細書(以下、給与明細)を見れば一目瞭然です。

毎月、給与明細の「総控除額」を確認して「こんなに給料から引かれるなんて」とガッカリしているかもしれませんが、実はこの「総控除額」の中に、保険料の支払いが含まれているのです。

控除は大きく分けて「法定控除」と「法定外控除」の2つに分けられます。

このうち後者に該当するものは、社宅費や財形貯蓄、従業員持ち株会の拠出金、労働組合費、社員旅行の積立金など。控除内容は会社によって異なりますが、法律に定められていない天引きが「法定外控除」です。

一方、前者の「法定控除」は、名称の通り、法律上、会社が賃金から差し引くことが定められているもので、新卒なら次の5つとなります。

本人や家族が、病気・ケガなどで診療を受ける場合、一定の自己負担分のみで医療等を受けるために支払う「健康保険」。年金の支給を受けるために支払う「厚生年金保険」、退職したときなど、再就職するまでの間の給付を受けるために支払う「雇用保険」。

個人の所得に対して課税される「源泉所得税」、地方自治体による行政サービスを受けるために支払う「住民税」。最初の3つは社会保険料で、残り2つは税金です。

社会保険料を支払っているということは、あなたはすでに保険に加入しているといえるでしょう。

そして、事業主が保険料を負担するため給与明細に記載されませんが、業務上、通勤上の労働者の疾病や死亡に対して、労働者やその遺族に必要な保険給付を行う「労災保険」を加えると、「4つの保険」に加入していることになります。

また、40歳以上となると、介護サービスを受けるための「介護保険」も加わり、いずれ加入する保険は5つに増えるのです。ただし、初任給から控除されるのは、所得税と雇用保険のみ。

健康保険と厚生年金保険は、前月分が翌月の給料から差し引かれるので5月から。住民税は、前年度の所得に対してかかるものなので、2年目の6月までは天引きされません。そのため、新社会人の手取りは多いのです。今後天引きされる額が増えることを覚悟しておきましょう。