「アマゾンエフェクト」の大きな要因になっている
プライム・ビデオは、「ローカル」に加え「グローバル」も重視しながら、全方位戦略を採っていますが、このプライム・ビデオを包含するサブスクとして「アマゾンプライム」は、とりわけ戦略性に長けた存在として位置付けることができます。アマゾンプライムは、顧客価値を高めることで加入者を増やし続けると共に、社会現象にもなっている「アマゾンエフェクト(アマゾン効果)」の大きな要因のひとつになっています。
アマゾンエフェクトとは、端的に言うと、グローバルレベルで起こっている経済秩序や産業構造、ビジネス・エコシステムなどの破壊や再編を指します。アマゾンエフェクトはこれまで、出版、小売、物流、コンピューター、映画、金融などあらゆる産業や分野に破壊や変革をもたらしてきました。
例えば、出版業界には、デジタル化という変化をもたらしました。小売業界には、マーケットプレイスというプラットフォームを確立させました。物流業界には、自動化やパーソナル化により、オペレーションプロセスに新たな変革をもたらしました。コンピューター業界には、クラウド化の波を起こしました。その結果、どの業界でもアマゾンエフェクトにより、個々の企業が消滅に追いやられ、産業構造そのものが破壊されて新たな秩序が生み出されています。
脱会できなくなる「居心地」の良さ
アマゾンプライムには、さまざまな分野で多種多様な特典が用意されています。配送の分野では、最短2時間で商品が届く「プライムナウ」(一部エリアのみ)や「お急ぎ便」、「当日お急ぎ便」、「お届け日時指定便」、コンテンツでは、映画やTV番組、アニメが見放題の「プライム・ビデオ」や写真を容量無制限で保存できる「プライムフォト」、好みのツイッチチャンネルのスポンサー登録が1チャンネル分無料となる「ツイッチ・プライム」、キンドルでは、「1カ月1冊無料」、マーケットプレイスでは、タイムセールの商品を通常より30分早く注文が可能な「先行タイムセール」や、おむつやお尻拭きが15%割引となる「アマゾンファミリー」、さらには、食品や日用品など毎日使うモノを必要な分だけ購入できる「アマゾンパントリー」などです。
このように、アマゾンプライムには極めて豊富な特典が用意されているので、会員は、一度入会すると便利で居心地が良いため、脱会するきっかけを失ってしまいます。会員であれば、商品を買ってもタダですぐに配送してくれますし、必要な時にはいくらでも音楽を聴いたり映画を観たりすることができます。