比較する対象がなければ、説明はできない

【三宅】日本人が英語を学ぶことで世界に日本の良さを伝えていく。これについてはどうお考えですか?

三宅 義和『対談(3)!英語は世界を広げる』(プレジデント社)

【鈴木】たしかにオリンピックも控えていますし、外国人観光客も増えていますからね。

ただ、日本人として日本の良さを説明するといっても、まずは日本のことをわかっていないと説明できません。では日本のことはどうすればわかるかというと、実は外国を知ることではないかと思います。比較するものがないとどうしても意識が向かないですから。

そういう意味で、入り口は外国かぶれでもなんでも構わないので、一度、外の世界に興味を向けることも大切だと思います。かぶれたままで終わってしまうともったいないですが、外国の文化を好きになれば、同時に日本の特徴も浮き彫りになります。そこから意識を日本に向けていけば、日本の良さも話せるようになる気がします。

【三宅】グローバルな、俯瞰した視点ですね。

【鈴木】はい。だから日本だけがすごいんだとか、日本のここが尊敬されているんだといった話だけではなく、外国には外国の善しあしがあって、日本には日本の善しあしがあるという視点を常に意識するようにしています。

どうしても日本人は日本のことを極端に卑下するか、あるいは自慢しすぎるかのどちらかに陥りがちな気がします。日本にはいい点もあるし、そうではない点もある。だから外国から学べるものは謙虚に学んで、同時に日本の良さもどんどん発信していくことが大事だと思います。

【三宅】まったく同感です

【鈴木】いずれの場合もやはり手段としての英語が必須です。例えば外交でも商談でもディベートでも、日本人が言われっぱなしで全然反論できず、誤解され続けるというのもちがいますね。言いたいことをしっかり発信していくためにも英語はすごく重要だと思います。

鈴木 亮平(すずき・りょうへい)
俳優
1983年、兵庫県生まれ。東京外国語大学卒業。英検1級の資格をもつ。2006年日本で初めての水着キャンペーンボーイに選ばれる。同年テレビ朝日系ドラマ『レガッタ』で俳優デビュー。映画『椿三十郎』『カイジ 人生逆転ゲーム』『HK/変態仮面』『海賊とよばれた男』、フジテレビ系ドラマ『メイちゃんの執事』、NHK連続テレビ小説『花子とアン』、NHK大河ドラマ『西郷どん』などに出演。
三宅 義和(みやけ・よしかず)
イーオン代表取締役社長
1951年、岡山県生まれ。大阪大学法学部卒業。85年イーオン入社。人事、社員研修、企業研修などに携わる。その後、教育企画部長、総務部長、イーオン・イースト・ジャパン社長を経て、2014年イーオン社長就任。一般社団法人全国外国語教育振興協会元理事、NPO法人小学校英語指導者認定協議会理事。趣味は、読書、英語音読、ピアノ、合氣道。

〔ヘアメイク=宮田 靖士(THYMON Inc.)スタイリスト=徳永 貴士〕

(構成=郷 和貴 撮影=原 貴彦)
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