選ばれたエリートが海外駐在へ。しかし、現地では英語に苦労するもようだ。一体、どの学習法が効果的で、どの準備が役立たないのか? 海外赴任経験者にアンケートを行い、英語力を上げるテクニックを検証した。

赴任までの準備期間はごくわずか!

辞令は突然下される。それは海外駐在も例外ではない。「海外希望をアピールしていた社員には声がかからず、何も想定していなかった社員に辞令が下りるというのはよくある話です」と指摘するのは、グローバルビジネスコンサルタントの白藤香氏だ。

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「人事の視点からすると、英語ができる社員をすぐに海外駐在員として選ぶわけではありません。適応力や積極性がなければ海外ではうまくいかないので、『好奇心が強い』『チャレンジ精神がある』などの伸びる要素を見ている場合が多いんです」

英語が不得手な社員に白羽の矢が立ったとき、準備に時間を割けないのも特徴だ。書籍『海外赴任ガイド』を発行する、JCM流通事業部海外事業推進室長・中村達也氏によれば、内示から赴任までの期間は1~3カ月が一般的だという。

「『英語はできて当たり前』ととらえ、赴任する社員には語学よりも異文化理解の研修に力を入れる企業が増えています。アッパーマネジメントでは国際的にほぼ英語が用いられますが、現場のオペレーションでは赴任地の言語が必要。赴任の可能性があれば、英語はある程度習得しておいて、駐在が決まったら現地の外国語を学ぶ、というのが理想的かもしれません」

企業に勤めていれば、決して無関係ではない海外赴任。そこでプレジデント編集部は、25名の駐在経験者にアンケートを実施。反省や効果的な学習法など、生の声を集めた。

まず赴任先の苦労で目立ったのは、電話である。「会話が通じずに、ため息をつかれたことが何度もある」「話せない自分に、毎日自己嫌悪に陥った」は、ともに赴任地がアメリカだった30代の意見。相対すれば問題ないコミュニケーションも、音声だけになると一気に難しくなるようだ。

また、「同じオフィスでもスタッフの国籍がさまざまで、試験のテストや英会話スクールで学ぶような、きれいな英語がほとんど話されない」(30代・シンガポール)、「アメリカ東海岸は話すスピードが速く、あくせくしている人が多くて困った」(30代・アメリカ)など、赴任地特有の困難もあった。

白藤氏は、グローバルビジネスの英語レベルは、アジア、ヨーロッパ、北米の3段階のグレードに分かれると分析する。