旅先で外国人と話すには、どんな英語学習をすればいいか。俳優の鈴木亮平氏は「中学英語で十分。なにかを頼むときには、相手の目を見て“May I?”で通じる」という。イーオンの三宅義和社長との対談をお届けしよう――。(第3回)
俳優の鈴木亮平さん

中学英語をバカにして実践しない日本人

【三宅義和(イーオン社長)】鈴木さんは昨年2018年、『鈴木亮平の中学英語で世界1周! Feat.スティーブ・ソレイシィ』という本を出されています。英語学習者にとって大変有益な本だと思ったのですが、どういった意図で出版されたのでしょうか?

【鈴木亮平(俳優)】雑誌の『an・an』で連載していたものをまとめたものです。僕としては科目としての英語ではなく、実際に僕が学んできた英語のサバイバル術というか、こういう場面ではこういう表現が便利ですよといったものを紹介しています。それを英語のスペシャリストのソレイシィ先生と一緒にお届けすればいままでにないものができるのではないかなという思いで出版しました。

【三宅】中学英語でなんとかなる、というのがいいですよね。

【鈴木】僕もふだん、外国の方と英語で会話をするとき、中学英語以上のものはあまり使いません。

たとえば飛行機で後ろの席の人に「シートを倒していいですか?」と尋ねる時に、きれいな英語を話そうとすると「席を傾けるからLeanかな。じゃあCan I lean back? かな、Do you mind if I lean the seat? の方がていねいかな」などいろいろ考えてしまいますよね。でも実は相手の目をみて、席を指さしながらMay I? と言うだけで通じるんです。

実用書は一冊を繰り返し読まないともったいない

【三宅】そうですね。

【鈴木】あとは道に迷ったときにわざわざ「ここに行きたいのですが、どうやったらいけますか?」と丁寧に聞かなくても、とりあえず地図を差し出してWhere am I now? と聞けば場所を教えてくれます。その上でI want to go here.と地図を指差せば目的は達成できますよね。どれも中学英語レベルで、しかも短くてシンプルな文しか使っていません。ですから、読者の方がすでに持たれている知識をもっと活用してほしいという思いはあります。

【三宅】そこがすばらしいと感じました。「中学英語でなんとかなります」と言っても信じない方が多くて、信じないからそれを使う練習をしない。練習をしなければ一向に話せない。せっかくこのようなすてきな本があるのであれば、これを一冊買って繰り返し読んで、どんどん実践投入する方が一人でも増えればなと感じた次第です。

【鈴木】ありがとうございます。そうですね。英語にかかわらずですが、自分に合っていると感じた実用書は1回読むだけではもったいない気がします。とくに英語の決まった言い回しのようなものは、会話の中でスッと出てこないと意味がないですからね。