他のプレーヤーと“つながる”とやめづらい

ここまでソーシャルゲームにさまざまな心理効果が内在することをお伝えしましたが、これに追い打ちをかけるのが、他のプレーヤーとコミュニケーションを図ったり、共有したり、競ったりできるソーシャルな側面です。これは強い「同調効果」を生み出します。自分独自のキャラクターを自慢したい、ほめてほしい。人は誰でも他人に認められたいという承認欲求があります。

阿部誠『東大教授が教えるヤバいマーケティング』(KADOKAWA)

以前であれば、「たまごっち」のスクリーンを周囲の友人に見せていたのでしょうが、オンラインゲームではそれを世界中の人に対して公開したり、コメントをもらったりすることが可能になります。ハイスコアを達成したため、レジェンドとして称賛されれば有頂天です。

また、ゲームのスコアやクリアしたステージのランキングが、他のプレーヤーと共有されれば、競い合うモチベーションは高まって、ゲームを続けてしまいます。あるいは他のプレーヤーと共有・協力しているので、自分だけの都合ではやめづらいこともあるでしょう。

このように、ソーシャルゲームには多数の心理効果が組み込まれています。一度はまるとなかなか抜け出せない人が少なくない理由はここにあったわけです。

阿部 誠(あべ・まこと)
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授
1991年マサチューセッツ工科大学博士号(Ph.D.)取得後、2004年から現職。ノーベル経済学賞受賞者との共著も含めて、マーケティング学術雑誌に論文を多数掲載。2003年にJournal of Marketing Educationからアジア太平洋地域の大学のマーケティング研究者第1位に選ばれる。おもな著書に『(新版)マーケティング・サイエンス入門:市場対応の科学的マネジメント』(有斐閣)などがある。
(写真=iStock.com)
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