依存症に陥るのは、頭がいい人、有能な人、勝ち組の人

依存症は立派な病気なのだが、誤解が多い。意志の力で、アルコールであれ、ギャンブルであれ、やめられると思う人が多いが、その意志が破壊される、つまり脳のプログラムが破壊される病気なのだ。

また、だらしのない、もともといい加減な人がなる病のように思われがちだが、井川氏の著書にもあるように強迫性格の人、つまり、とことんやらないと気が済まない人が陥りやすい。負けず嫌いの人もそうだ。

だから、だらしないのとは正反対に、仕事で手を抜かない人、出世競争に勝ち抜いた人などが陥りやすいのだ。依存症に陥る前は、有能な人、勝ち組の人というわけである。

まさに賢い人をバカにする病と言ってよい。

24時間いつでも酒やたばこが買える珍しい国・日本

※写真はイメージです(写真=iStock.com/egadolfo)

もうひとつは、依存症というものは、依存するものへのアクセスがよいほど陥りやすい。日本では24時間、酒やたばこが買えるが、そういう国はむしろ例外だ。日本人の約44%は、お酒を飲んだ時に発生する有害物質アセトアルデヒドを分解する酵素「ALDH2」を持たないか、その働きが弱くアセトアルデヒドが貯まりやすい。脳より先に肝臓がやられる人が多いが、それでも230万人のアルコール依存症の診断に当てはまる人がいると推定されている。ニコチンの依存症は2014年の推計で1487万人である。

さらに日本の場合、海外のカジノと違って、いつでも行ける場所にパチンコ屋があり、毎日開催をしているからギャンブル依存症が多い。厚生労働省の発表ではなんと320万人である(2017年度推計)。これは諸外国と比して突出して多いとされている。

それを考えると、四六時中離さないでもっているスマホはきわめて依存症に陥りやすいものと言える。スマホが普及していなかった頃のインターネット依存症は成人だけで全国に270万人(2008年度に厚労省が実施した調査からの推計)だったということだが、今は500万人を超えているだろう。

実際、開成や灘のような名門校で、成績が急落する子供の多くはゲームやスマホの依存症状態だという話を聞いたことがある。まさに賢い子もバカにしているのである。

依存症の治療は確かに難しいが、40歳で、アルコール依存症を克服し、その後、州知事から大統領に上り詰めたジョージ・W・ブッシュのようなケースもある。

依存性物質や依存性のある行為(ギャンブルやゲーム)は一定の確率で人間を壊す。意志の強い弱いは関係ない。その最も確実な予防法は、近づかないことである。依存性の強い麻薬や覚せい剤、ギャンブルは、世界中で、手を出した人間が処罰されるようになっているのは、それに近づかせないためだ。

合法のものでも、依存性の強いアルコール、たばこ、ゲーム、そしてパチンコやカジノに手を出す際は、自分が依存症になることはあり得ないといった思い込みを捨て、その怖さを自覚することが重要だ。それが、もともと頭のいい人がバカになってしまったり、身を破滅させてしまったりしないための重大なポイントと言えるだろう。

(写真=時事通信フォト 写真=iStock.com)
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