一日たった10分の自由時間を何に使うか

「やりたいことがまだまだたくさんある。次の10年、40代がどうなるかが楽しみです」(並木氏)

「まずはいつも会っている社長30人に『サッカー好き』であることを伝えてみる。サッカー好きの社長がいるかもしれません。さらに、その近くにサッカーチームのスポンサーがいるかもしれない。サッカーチームを持っている社長からCFO(最高財務責任者)になってほしいとオファーされるかもしれません。職種として好きと関係なかったり、嫌いだったりしても、仕事の中で好きなことの割合を増やせば思いがこもり、力を発揮しやすい状況になっていくんですよ」

日々の業務に忙殺されていると「好きなこと」はいつの間にか意識の奥底に沈んでしまいがちだ。並木自身もマッキンゼー時代に勤めていた頃は、一日の仕事を終える23時30分からネットニュースを見て、好きなスポーツやアーティストの活躍を見る10分間くらいが、自分の好きに向き合える瞬間だったという。

そんな思いから昨年12月、WEBメディア『STAY TRUE Sign UP』を並木は立ち上げる。もう一度好きを仕事にしたいというコンサルタントのために、浦和レッズ、エイベックス、読売ジャイアンツなどのスポーツ界、エンタメ界の求める経営人材を、社長と並木の対談記事にして配信している。一つの記事を読み切るのに10分もいらないだろう。

人の感情をなめてはいけない

「このメディアでは、うちの会社で今やっている仕事を取り上げると同時に、かつての自分が知りたかったコンテンツを配信しています。僕も自分の好きな野球やファッションだったら負けない自信があるし、そういう仕事をしてからロジックを超えたところで力を発揮し、成果が出てきたように思います」

「それでもね」と少し苦い顔をしながらこんなエピソードを付けくわえた。

「いまだにマッキンゼーの同僚に会うと『並木もまた戻ってきたらどうだ。やっていることは変わらないだろ。だから……』というようにとうとうとロジカルに説得されることがあります。それで『僕たちには感情があるんで』と言って帰る。人の気持ちをなめてはいけないんですよ」

並木裕太(なみき・ゆうた)
フィールドマネージメント代表
1977年ベルギー生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。ペンシルヴェニア大学ウォートン校でMBAを獲得。2000年マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。09年にフィールドマネージメント設立。日本航空やソニーといった日本を代表する企業のステップゼロ(経営コンサルティング)を務める。15年MBA母校のウォートン校より、40歳以下の卒業生で最も注目すべき40人として、日本人で唯一「ウォートン40アンダー40」に選出。スポーツ分野では、プロ野球オーナー会議へ参加し、ジャイアンツやファイターズ、イーグルスなど、多数のチームビジネスに関与。現在、Jリーグ理事。18年12月、経営人材採用のためのWEBメディア『STAY TRUE Sign UP』を開設。著書に『コンサル一〇〇年史』など。www.field-mgmt.com
(撮影=三浦咲恵)
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