「それまで進学実績がなかった国公立大の合格者が出ると、われわれも進む方向性に自信を持ちました。生徒の頑張りに教職員も励まされた。以前は、時に『国公立大なら推薦でも』という気持ちになったのですが、現在は『一般入試で戦う』思いが強いです」(教頭の滑川孝則氏)
「7・5・3」の目標のうち、実現が難しいと思われた「3」(国公立大30人合格)を最初に達成し、教職員も自信を深めた。成功事例に学び、外部の知恵を導入して教育環境を整備。これに基づく授業を受けた生徒が結果を出したことで、PDCAが回っていったのだ。
通信制も全日制も「面倒見のよい学校」
同校のもう1つの特徴である「通信制」も紹介しよう。2003年に開校した通信制では、「面倒見のよい安全安心な学校」を掲げた。生徒の中には、全日制を退学した人もいれば、さまざまな事情で高校進学を果たせなかった人もいる。「1人ひとりに寄り添い、見失った自分のよさや可能性に気づいてもらう」がモットーだ。今では、国立大学やMARCHクラスの私立大に進学する生徒も出てきた。現在は全日制で約1100人、通信制で約700人が在籍する。
「面倒見のよい学校」は、通信制に限らないという。ある幹部教員は匿名を条件にこう話す。
「勤務校だからでなく、明秀日立に感謝する部分があります。私には3人の子どもがおり、上と下は日立一高に進学しましたが、真ん中の子は不合格となり明秀日立の全日制に入学した。半年ほどは体裁が悪く、マスク姿で通っていましたが、徐々に自信を取り戻し、卒業後は茨城大に進学したのです。明秀でなければ、自信を失ったままだったかもしれません」