20年代には日本の人口は620万人減少し、50年代には910万人が減る予想が出ている。このまま「稀子高齢化社会」になっては、現在享受している社会システムは成り立たなくなり、国家としての存続も危うくなる。ほかにも人口減少に悩む国はあるが、先進国はどこも早々に移民政策を導入してきた。スイス、ベルギー、スウェーデンなど、「人口が少ない豊かな国」は概して移民の割合が高い。

日本に目を転じると、いまだに移民アレルギーが強く存在する。最たる意見が、「外国人労働者が増えると、日本人の職が奪われる」ではないだろうか。しかし、アメリカの研究では、移民流入はその国の賃金上昇を招くという報告もある。外国人労働者を受け入れれば、自国労働者はより高度で付加価値の高い仕事に移る傾向があるのだ。

さらに、グーグル、フェイスブック、アマゾン、オラクル……。これらの巨大IT企業は、移民2世によってつくられてきた。苦労を経て創意工夫を凝らしてきた移民が、独立・チャレンジ精神に富むのは当然かもしれない。外国人労働者が、将来的に新たな雇用創出を実現する可能性も高いのである。

日本は実質上の移民受け入れ国家

今回の政策について、「労働力受け入れにすぎず、移民政策ではない」という主張を耳にする。しかし、国連による移民の定義は「居住国を離れ、居住国以外の国に12カ月以上住む人」。その定義に従えば、留学生や技能実習生、もっといえば駐在員ですら本来は移民であり、日本は実質上すでに移民受け入れ国家になっている。17年の1年間で日本に定住した外国人は18万人。しっかりとした対策を講じねば、中途半端な立場の在留者が増加し、将来の「移民問題」に発展するのは、他国の事例を見ても明らかだ。

ドイツでは1950年から73年にかけて人手不足から大量のトルコ移民を受け入れた。当初は認めていなかった家族帯同もなし崩し的に容認。それでも「移民受け入れ国ではない」立場を貫く政府は、彼らに対してほとんど手立てを講じてこなかった。何が起きたかといえば、ドイツ語も満足に喋れない、社会に馴染めないトルコ系移民2、3世が激増。結果、多くの問題が深刻化し、国にとっても移民にとっても不幸でしかなかった。

そこでドイツは04年に移民法を改正。移民の社会融合へと舵をきった。ドイツに1年以上在住する外国人は、600時間のドイツ語学習と、30時間のドイツの歴史、文化、法制度の学習を義務付けられるようになった。現在、「ドイツ人」の実に20%以上が、移民をルーツに持っている。

では、日本ではどうやって外国人労働者を受け入れていけばいいのか。