(ジェネリック医薬品の)「効き目は同じです」
このセリフの背景には、医療費の抑制のため、国がジェネリック医薬品を強く推奨しているという事情があります。日本は欧米諸国と比べると、国民健康保険のおかげで先発医薬品でもさほど高額にならないため、ジェネリックの普及が遅れています。そこで医療費を抑制すべく、厚生労働省はジェネリックの普及に力を入れていて、薬局でもジェネリックを勧められるのです。
ただ、実際にはジェネリックの効果が先発品と100%同じというわけにはいきません。大体80%程度は有効成分が同じといわれています。ジェネリックが販売されるのは先発品の特許が切れた後になりますが、その際、添加剤など細かい成分がすべて明らかにされるわけではありません。厳密に言えば、先発品より効果が多少劣るジェネリックもあるといわれています。でも、その差が取るに足りないと思う場合、「効き目は同じです」と言っている医師が多い印象です。迷ったときは、「先生ならどちらを飲みますか?」と聞いてみましょう。もし担当医もジェネリックを服用しているなら、より安心して選べます。(松井氏)
「薬がなくなったら、また来てください」
この言葉の裏には、「よくなったら来なくていいですよ」というのがあります。患者さんが心配している場合でも、「この薬でほぼ治るだろう」と思いながら処方するときに、よく使います。もちろん、表面的な症状の裏に別の病気が隠れていることもありえますから、薬がなくなる頃にも症状が続くようなら、もう1度よく診て、薬を継続するなり精密検査をするなりといった判断をします。逆に、最初からしばらく飲み続けてほしいと思っている場合、こういう言い方は絶対にしません。例えば高血圧やコレステロールの薬を出すときには、「1カ月後にまた来てください」などと、きちっと次の予約を入れてもらいます。そこで経過観察をしないといけませんから。(奥仲医師)
「とりあえず検査しましょう」
健診のX線検査で胸部に影が出たという方が、詳しい検査をしてほしいと来院することがあります。でも画像を確認すると、どう見ても血管っぽい。あるいは乳首が写ることも多いんです。ところが、今はがんの見落としが話題になっていたりしますから、医師のほうも慎重になって「がんの疑いあり」と診断する傾向があります。
曲がりなりにも一次検査で異常が指摘され、患者さんが精査を希望する以上、CT(コンピュータ断層撮影)を撮らざるをえません。たぶん違うだろうと思いつつも、納得いただくために「とりあえず検査を」となるわけです。撮ってみると、案の定血管だったり乳首だったりすることが多い。それはそれで「よかったですね」となるわけですが。もちろん、「万が一のことがあったら」と心配する患者さんの気持ちはわかります。でも、なんでもかんでも「万が一」を案じていたらキリがありません。本当に「万が一」を気にされるのならば、ある程度の費用負担を覚悟で人間ドックを受けることをお勧めします。(奥仲医師)