3. 寝具やパジャマを、こまめに調節

春は寒暖の差が激しく、蒸し暑い初夏のような日があるかと思えば、冬に戻ったような寒い日もあり、熟睡をさまたげる気温の変化が起こりやすくなります。いつまでも冬と同じ寝具では寝苦しいですし、かといって夏のような寝具では、肌寒いことも。

人の身体は思いのほか気温の差に敏感ですから、寝具やパジャマを調節して、熟睡できる環境を整えましょう。翌朝の天気予報で気温をチェックしておく、交換できる布団をベッドのわきに置いておく、などの準備ができればいいでしょう。

4. とりとめのないお喋りでストレスの「言語化」を

3月、4月は、環境の変化も伴うため、精神的にも多大なストレスがかかります。緊張や不安、不満、気疲れ……。薬や注射ですぐに解決とはいかないところが、ストレス対策の悩ましいところです。

わたしがいちばん大切だと考えているのは、新生活についてなにげないことでも他人に話す機会を持つことです。小難しい用語を使えば、ストレスの「言語化」です。

「今日はソフトの使い方なかなか覚えられなくて大変だった」
「さっそく上司に注意されちゃった」

と、言葉にできる機会は貴重です。逆にひとりでストレスを抱えて悶々としている姿を想像してください。精神的に不健康であることは、言うまでもないでしょう。

特に孤独に陥りがちな男性の場合は、毎日お喋りしなさいとはいいませんが、せめて月に一度は家族なり友達なりパートナーに、なにげないことを話す機会をもちたいものです。人間は誰も見ていないところでは、苦しみになかなか耐えられません。話を聞いてくれるのがごくたまにであっても、ちゃんと見守っている人の存在があれば、頑張れるものです。

5. ベッドに入って20分眠れなければ、寝室から出る

眠れないときは、無理して眠ろうとしないことが大切です。ベッドに入ってから20分たっても眠れない場合は、寝室から出ましょう。部屋の明かりも暗めに調節、ノンカフェインのお茶でも飲みながら、ゆっくり過ごします。そして眠くなったら再びベッドへ戻ります。時計やスマホを見るなど眠れない不安を強くしてしまう、あるいはアクション系など刺激の強い動画を見てしまうなどの行動はNGです。眠くなるのは、「退屈」「単調」という、刺激の乏しい環境です。

現在の不眠治療では、眠れないときに無理にベッドに居続けると、苦痛の記憶が刻まれて寝室が苦行の場になってしまうので逆効果とされています。どうしても眠れないときは、「今夜の寝不足で次の夜は眠れる」と、受け入れるのがベターです。ただ、連日にわたって不眠が続くならば、生活習慣では限界の可能性もあるので、睡眠医療の出番であることも知っておいてください。

西多 昌規(にしだ・まさき)
精神科医
医学博士。早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授。東京医科歯科大学卒業後、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て現職。『テンパらない技術』(PHP文庫)、『自分の「異常性」に気づかない人たち: 病識と否認の心理』(草思社)、『休む技術』『眠る技術』(ともに、大和書房)など著書多数。
(写真=iStock.com)
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