大手、準大手ともに“どん底”にあるゼネコンは年収も軒並み減収の一途。緩やかな業績回復を見せる不動産各社は、大幅アップこそないものの、高水準を保つ。

不動産は復調の気配も

国内市場縮小!生き残りのカギは海外市場にあり
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国内市場縮小!生き残りのカギは海外市場にあり

ここにきて、ゼネコンと不動産の2つの業界は、明暗が分かれた感じがある。民間需要と公共事業の低迷が続き、依然として苦境を抜け出せない建設業界。かたや、不動産業界はマンション市場に復活の気配が見え始めた。ただ両業界とも、2009年の賃金実績に関していえば、目を覆うばかりの状況だ。

大手ゼネコン4社の10年3月期決算が出揃ったのは5月半ばだったが、いずれも減収という厳しさ。とりわけ鹿島、大林組は上場以来初の営業赤字となった。鹿島が68億円、大林組が625億円という欠損だが、あらためて業界が“どん底”にあることを実感させる出来事だった。そうした状況を反映して、竹中工務店を含めた5社の平均給与は全社とも2桁減。

目立つところでは、鹿島が45万円減って、890万円あまり。経営的には、資産売却などで経常利益こそ90億円を確保したとはいえ、本業の受注高は32%もの落ち込みで9440億円にとどまっているのが偽らざる現実である。

また、鹿島を上回る営業損失を計上した大林組は864万円(前年比16万円減)。アラブ首長国連邦のドバイ政府から鹿島と共同企業体で受注した地下鉄工事の採算割れが響いたという。同社が手がけ、12年春の開業に向けて、着々と工事が進んでいる「東京スカイツリー」が話題になっているが、焼け石に水といったところだ。とはいえ、5社とも800万円台を確保しているのはさすがといっていい。

厳しさは準大手ゼネコンにしても変わらない。平均給与額は700万~500万円台に並ぶが、前年以上のマイナス幅が目立つ。とにかく建設市場規模が、1990年代のピーク時の約80兆円に比べて半減してしまった。とりわけ、公共事業の受注に際しては、採算ギリギリ、あるいは赤字覚悟の入札も少なくない。

東京都内で仕事をする、あるゼネコン下請け業者は「絶対的な工事量の減少、それに加えてダンピングも横行し、大手もそこに巻き込まれている。その赤字分は、業界のヒエラルキーのなかで、我々にしわ寄せされてくる」と嘆く。