老後に困らないベストな選択肢はなにか。各分野のプロフェッショナルに「より賢い選択肢」を聞いた。第11回は「散骨vs.樹木葬vs.手元供養 遺族が迷惑するのはどれ?」――。(全11回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年11月12日号)の掲載記事を再編集したものです

お骨に気づかず、処分してしまうことも

自然葬への関心が高まり、墓選びが多様化した昨今。イメージだけで選んでしまうと遺族に迷惑がかかることも。エンディングコンサルタントの佐々木悦子さんは「決める前に家族で話し合うことが大事」と指摘する。

写真=iStock.com/mykeyruna

“最期は自然に還りたい”と考える人に人気なのは、散骨や樹木葬。散骨は海や山などに遺骨を撒く方法だが海洋散骨には注意が必要だ。

「晴れて波が穏やかな日に散骨できればいいのですが、そうとも限りません。天候によっては、船が出航できないこともあります」(佐々木さん)

結果、地方から集まった親戚が長い時間、待機させられることも。長引けば宿泊費などの負担が生じることにもなる。その後も命日には散骨した場所にお参りをしたいと考える遺族も少なくないので、天候の心配がついてまわる。

一方で樹木葬は、墓石の代わりに桜やバラの木などを墓標にする墓地のこと。墓参りもできるので遺族も納得しやすいが、意外な現実も。終活ビジネスコンサルタントの吉川美津子さんはこう話す。

「土に還るイメージを持たれている人も多いですが、骨壺を使用して納骨するところもあれば、一定期間を過ぎたら取り出して別の場所で合葬する樹木葬墓地もある。都立の樹林墓地は、抽選になるほど人気がありますが、マンホールのような穴が掘られていて、何百体もの遺骨を一緒に納骨するので、イメージと違うという人もいます」

抽選に当たってもキャンセルする人がいるとか。申し込み前に現地見学をしたほうがよさそうだ。