老後に困らないベストな選択肢はなにか。各分野のプロフェッショナルに「より賢い選択肢」を聞いた。第7回は「不動産・株・預貯金 死ぬまで保有vs.要介護前に現金化」――。(全11回)
※本稿は、「プレジデント」(2018年11月12日号)の掲載記事を再編集したものです
まだ手放したくない場合はどうするか
自身の定年後を考えていると、見落としがちな親の資産。早い段階で現金化すれば有効活用できる一方で、処分しないといずれ「荷物」になる危険性を孕んでいます。
対策は、親が要介護や認知症になる前に、兄弟姉妹を交えて話し合っておくこと。財産を洗い出すのと同時に、将来どうするのかコンセンサスを取っておきましょう。
そのうえで、真っ先に話し合っておきたいのが自宅などの「不動産」です。老親だけで住んでいる場合、将来的には貸せず、売れずに空き家になってしまうケースが増えています。今需要があってもそれが永く続くとも限りません。次第に建物は老朽化し、一部の人気エリアや商業地を除けば地価は下がるということを踏まえれば、早めの処分が望ましいといえます。
もし広い家を持て余していたり、古い家に不便を感じているならば「コンパクトな賃貸マンションで暮らしてはどうか」といった提案を親にするのも一手でしょう。
株などの有価証券も、要介護、とくに認知症になると売却の判断はできなくなりますから、早めの現金化をオススメします。2018年10月からはすべての銘柄が100株単位で売買できるようになりました。もし配当を受けたい、まだ値上がりしそうだから手放したくないといった場合には、保有している株すべてではなく、一部だけを売るというのでもいいでしょう。