「相手の目を見つめ、かつ大きく頷きながら、『はい、はい、なるほど』『そうなんですね』『たしかに!』『それは気づきませんでした!』など、いささかオーバーリアクション気味でもしっかり相槌を打つことが肝心」と田中氏は話す。日頃し慣れていないと「あざとい」と感じるかもしれないが、自分が思う以上に、相手は聞き手の反応のなさに不安を抱いているものだ。

第一印象の重要性はさらに増す。

「アメリカのプリンストン大学の研究結果によると、相手の顔を見て『好感が持てそう』『信頼できそう』と判断するまではわずか0.1秒だそうです。とにかく初対面では自分の意識する以上の笑顔を相手に向けること。意外とこわばっていたりするものです。私の実感では普段の1.5倍の表情とリアクションで初めて、相手に『興味ありますよ、しっかり聞いていますよ』というサインになります」(秀島氏)

日本人は欧米人に比べると表情の変化が乏しく、素の表情だと相手に威圧感や不安感を与えかねない。

「雑談しにくい相手だなと感じる人というのは、大抵喋りにくいオーラを発している自分のリフレクト(反射)なんです。自分はオープンマインドのつもりでも、表情が硬かったり目線がきつかったりするので、鏡でいろんな表情をする練習から始めてみてください」(安田氏)

チェックポイントは、「口角が常に上がっていること」「歯が程よく見えるようハキハキ喋ること」「目線が柔らかいこと」「声の高さが低すぎないこと」などだ。コツは「ファ」か「ソ」あたりの音程で話すことだという。これをするだけで、一気に「話しやすい人」に変身できるという。

ただし、「聞くこと」には注意点もある。「Listen(聞く)ではなくAsk(尋ねる)を連発している人もいます。そうなると相手は詰問されている気分になってしまうので気をつけてください」(秀島氏)。

芸人的面白さはいらない

では、どのタイミングで自分のことを話したらいいのだろうか。

「相手も話しているうちに、『あれ、俺ばかり話しているな』と気づく瞬間が訪れます。そういうときに初めて、『いや、私も先日こういうことがあって』と、自分の話をするくらいがちょうどいい割合でしょう」(安田氏)

話すテーマも悩みどころだが、放送作家の田中氏によると、気をつけるべき点は相手の「共感」を得られるかどうかだという。