▼会話のネタに困ったら(1)
鉄板は地域ネタ●安田 正

雑談にふさわしいテーマには、気候・相手の会社情報・ファッション・健康・趣味・最新ニュースなどがあります。しかし、なかでも鉄板なのは相手の「出身地(地域ネタ)」です。雑談で盛り上がるのは決まって「互いの共通点」を見つけたとき。相手の出身地が話題になり、「あの辺りには××がありますよね」などと会話を発展させられれば距離がぐっと近づきます。

地域ネタには情報が劣化しないというメリットも。時事や流行ネタは常に更新し続けなくてはなりませんが、地域ネタは長く使えます。理想は47都道府県分、地名や史跡、銘菓などの知識を仕入れておくことです。

ただし、注意点もあります。地方によっては悲しい歴史や、他県と対抗意識を持っていることもあるため、繊細な話題には触れないこと。もし地雷を踏んだら、素直に「不勉強で申し訳ありません」と謝り、「ぜひ、教えていただけますか」とお願いできれば、印象のリカバリーにも繋がるでしょう。

▼会話のネタに困ったら(2)
「アニキとタケシが過去住職」●田中イデア

雑談のテーマに悩む人は多いようです。気にしすぎないほうがいいというのが僕の持論ですが、とはいえイザというときのネタを仕込んでおくと安心です。

覚えるのは「アニキとタケシが過去住職」という語呂合わせ。応用例とともにご紹介しましょう。

「遊び」子ども時代の遊びや現在の趣味話など
「ニュース」新聞一面記事に加え、突っ込みどころ満載の三面記事や地元の笑える話など
「季節」春夏秋冬、イベントやスポーツなど
「友達」地元や子ども時代の変人、友人エピソード
「旅」出張、観光旅行先での話
「健康」独自の健康法や笑える入院ネタなど
「仕事」仕事やバイトの体験談
「学校」大学・予備校・カルチャースクールでの面白エピソード
「家族」家族やペットネタ
「恋人」恋人や失恋にまつわる失敗談など
ジュウ「住居」家や土地、暮らしに関する話
ショク「食事」飲食、ダイエットにまつわる経験談。

話題につまったときにも思い出してみてください。

▼会話のネタに困ったら(3)
コンビニと歳時記を味方に●秀島史香

ラジオDJを始めた頃、最も頭を悩ませたのはオープニングトークでした。そこで活用し始めたのがコンビニと歳時記です。

コンビニはいつも変わらないように見えて、実は季節を先取りしたこまやかな商品で溢れています。「人気アニメキャラが描かれたお年玉袋だ」「冬限定のビールが今年は豊富」、そんなことを感じながらの定点観測からは、現代における季節感や、世の中の気分が感じ取れます。

一方の歳時記は日本の伝統的な季節感の宝庫。20代の頃、言葉を扱うDJとして語彙力が足りないと手に取りました。以来、瑞々しい日本語の美しさやリズム、「冬夕焼(ふゆゆうやけ)」「木の葉髪(このはがみ)」など五感を刺激する季節の表現に魅了され続けています。

コンビニで目にした商品も、歳時記の季語も、そのままスライドして会話のきっかけとして使えます。「さっき立ち寄ったコンビニのレジ横に最新のマスクが売られていたんだけど」と、雑談を始めることも。気づきや感性を刺激してくれるこの2つ、おすすめです。

安田 正
パンネーションズ・コンサルティング・グループ代表取締役
早稲田大学グローバルエデュケーションセンター客員教授。ビジネスコミュニケーションの第一人者。
 

田中イデア
プラトン企画代表
放送作家。テレビやラジオの構成・リサーチ、イベントの企画・プロデュースのほか、芸人養成スクールの講師を務める。『お笑い芸人に学ぶウケる! トーク術』など著書多数。
 

秀島史香
ラジオDJ
ナレーター。慶應義塾大学在学中にDJデビュー。テレビ番組にも多数出演。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』がある。
 
(構成=三浦愛美 撮影=石橋素幸 写真=iStock.com)
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