二階氏、菅氏と微妙な関係に
中央政界での麻生氏の立場は最近微妙になっている。お膝元の福岡県は4月に知事選を控える。自民党は元厚生労働官僚の新人・武内和久氏の推薦を決めているが、現職の小川洋氏も出馬を決意。自民党の一部国会議員は小川氏を推す構えで保守分裂選挙となる。
小川氏はもともと自民党の支援を受けていたが16年の衆院福岡6区補選の対応を巡り麻生氏の不興を買った。そういった経緯から自民党は今回、小川氏を推さず武内氏の支援を決めたのだが、結果として保守分裂選挙となってしまった。もし武内氏が敗れることになれば麻生氏の求心力低下は避けられない。
さらに深刻なのは、小川氏が二階俊博幹事長や菅義偉官房長官と近いことだ。福岡の自民党分裂はそのまま中央に波及し、麻生氏と二階氏、菅氏という安倍晋三首相を支える3人の重鎮の関係を微妙にしている。
永田町での存在感が日に日にやせ細っている
菅氏は14年に麻生氏が「子どもを産まないのが問題だ」と発言をした時は「全く問題ない」と擁護している。
今回の発言を受けコメントを求められた時には「必要に応じて麻生氏自身が説明すると思う。コメントは差し控える」と述べた。今回の発言のほうが突き放しているように聞こえるのは考えすぎだろうか。
スタイリッシュで若く見える麻生氏だが78歳になった。17年ごろまでは、安倍内閣の支持が急落すると決まって「ワンポイント・リリーフで麻生政権」というような観測があったが、最近はそういう声も上がらない。そもそも安倍氏が2021年秋までの総裁任期前に辞任するような展開は今のところ考えにくい。21年秋には麻生氏は81歳になってしまう。
麻生氏の永田町での存在感が日に日にやせ細っていくのは避けられない。注目されるのが問題発言だけ、ということになってしまうのは、あまりにも寂しい。
(写真=時事通信フォト)