コスト意識を持たない会社員は淘汰されよ

勝手に概算を出してみると、飛行機運賃は往復6万円×9人分、宿代は1万5000円×9人分、その他、「懇親会」と称する高級和食店での飲食費やタクシー代など諸経費が20万円──合計すると87万5000円である。加えて9人それぞれの2日分の人件費もある。役職なども加味し、1人1日平均7万円とすると合計で126万円だ。よって、この「顔合わせ」出張のために依頼側の会社が投じた金額は213万5000円になると推測する。

当のクリエーターは「わざわざこんな遠方まで、そんなに大勢でいらっしゃらなくてもいいのですが……」と恐縮していた。

バカ会社員は、外注先のコストを考えないばかりか、自社のコストまで考えないのだ。つーか「9人で行く必要がどこにあるのか。統括するプロデューサー級の人間と、実務に関する責任者のせいぜい2人で十分だろうよ」「全員できちんとあいさつしたいというなら、クリエーターが上京したときにでも機会を設ければ問題ないだろ」「別にSkype会議でも打ち合わせくらいできるんじゃねぇの」としか感じない。

コスト意識のない会社員はさっさと淘汰されよ、としみじみ思う。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・「カネを払う」側の発注者と「仕事を頂戴する」側の受注者という関係性は尊重するが、だからといって発注者は受注者の時間や労力を軽視していいわけではない。
・「業界の重鎮」的な人間に忖度しすぎて、無駄な配慮を重ねることがいかに無意味か、冷静に考えるほうがいい。
・フリーランスの人間は、取引先の上位にいる「信頼できる人物」とできるだけ繋がっておこう。何かあったときは、彼らが力になってくれる。
・“バカ会社員”が起こす問題の多くは、コスト意識の欠如に起因している。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
(写真=iStock.com)
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