「すぐに企画書をつくれ」などと無茶ぶり
仕事を獲得できることは、自身の不安定な生活を安定化させてくれるため、新規業務の打診はフリーランスにとって、いつでも心が湧き踊るもの。だが、いざ呼び出されて1時間ほど会議室で打ち合わせをしたりすると、「というわけで、すぐに企画書をつくっていただきたいのですが、今週中になんとかなりますか?」なんて無茶ぶりをされるケースが少なくない。
「100万円のためならば、ここは粉骨砕身!」とばかりに、フリーランスは取らぬ狸の皮算用をしつつ、とにかく企画を考える。そのうえで、企画書に盛り込む内容の「裏取り」をすべく関係各所に連絡をし、企画の実現性を高めるべく動き始める。その関係先が「おっ、面白そうだね。ぜひ一緒にやろう!」「何でもお手伝いしますよ!」などとありがたい反応を返してくれたなら、返す刀で相談したことや合意できたことを取りまとめ、提出用の企画書に「できること」「できないこと」などを落とし込んでいく。
企画を提出したのに、その後、連絡ナシ……
かくして10個ほどの企画案をつくり、再び発注元である会社へ打ち合わせに出向く。「このアイデア、面白いですね!」「へぇ~、こんなこともできるんですか!!」といった好反応を得て、その場は多いに盛り上がる。それなのに、だ。いや、本当に「それなのに」なのだが、私のような大御所ではない人間の企画は往々にして、程なくこうなってしまう。
「すみませ~ん、クライアントに相談したところ、予算を街頭ビジョンやテレビCMにつぎ込みたいという意向になってしまったので、中川さんのウェブ企画に予算がつきませんでした~」
「あぁ~ごめんなさーい、例のアルゼンチンの取材企画、別の人に頼んじゃった。ごめんなさいね~! また何かあったらお願いしますね~」
ひどい場合だと、打ち合わせの後に一切の連絡もなく、私が出した企画が通ったのか、通らなかったのかすら分からないことがある。待てど暮らせど反応がないので、ついにこちらがシビレを切らして抗議のメールを送るとともに、ツイッターやフェイスブックでキレたりすると、ようやく慌てたように連絡が来て謝罪をされたり、企画費を払う旨を伝えられたりするのだ。