限度額適用認定証は、加入している健康保険組合で発行してもらえるので、入院や長期の通院が必要になる場合は事前に入手しておくといい。もし入院時や最初の通院のときに間に合わなくても、月末までに用意できれば、その月から適用される。

医療費が高額療養費の限度額を超えた月が過去12カ月に3回あると、4回目からは「多数回該当」という制度が適用され、前述の年収370万~770万円の人の場合は、限度額が4万4400円に引き下げられる。通常、多数回該当を利用するには申請が必要だが、受診しているのが1つの病院だけなら、医療機関側で多数回該当の処理もしてもらえる。ただし、複数の医療機関に通っていて、それぞれ高額療養費が適用される場合は、申請して払い戻しを受ける必要が出てくるので、加入している健保組合で手続きを。

限度額適用認定証の有効期限は原則的に1年。継続的に高額な治療費がかかっている人は、期限が来る前に更新するようにしよう。(早川)

▼「高額介護サービス費」の申請で戻ってくる金額は16000円(※)

介護費用の負担を少なくする制度はあるか?

介護保険にも健康保険の高額療養費と同様に、1カ月の自己負担に上限を設けた「高額介護サービス費」という制度があるのをご存じだろうか。

介護保険は、原則的に65歳以上で介護が必要になった人が、食事や入浴の介助、リハビリなどのサービスを受けられる国の制度。7区分の要介護度に応じて受けられるサービスの種類や限度額が設けられている。原則的に利用者は自分が使ったサービスの1割を負担する(合計所得金額160万円、もしくは年金収入280万円以上の人は2割。収入の種類や家族構成で異なる)。ただし、「高額介護サービス費」を申請すると、所得に応じて決められている上限額の超過分は、払い戻しを受けられるのだ。

たとえば、現役並み所得者(※図版参照)がいる世帯で見てみよう。自己負担2割で要介護5、30万円分のサービスを利用した場合、いったん6万円を支払う。高額介護サービス費の限度額は4万4400円なので、申請すると超過分の1万5600円の払い戻しがある。

対象者には原則的に市区町村から申請書が届くが、利用されないケースも多い。1度申請すると以後は手続き不要。自動的に還付を受けられるので、お忘れなく。(旭)

(※)1カ月分。現役並み所得者世帯、2割負担、要介護5の人が30万円のサービスを利用した場合。