個食化などでクリスマスを中心とした「催事ケーキ」の市場が縮小している。だが一方でコンビニではクリスマスケーキの売り上げが伸び続けている。このうちローソンでは高価格帯のケーキが好調で、1万円のケーキはすでに完売したという。なぜコンビニでクリスマスケーキが売れるのか。どんな人が買っているのか。大手3社に聞いた――。

クリスマスケーキの予約注文は増えている

コンビニのクリスマス商戦が、早くもラストスパートを迎えている。聖夜を盛り上げるクリスマスケーキのカタログ予約注文が、12月17~19日ごろに終了するからだ。「チキンと合わせてケーキの予約どうですかー」と、店員たちの声も高まっている。

ただ、クリスマスを中心とした催事ケーキの2017年の市場規模は596億5000万円で前年比97.5%(2017年・富士経済調べ)と、ここのところ縮小傾向にある。世帯人数が減って小さめのケーキが好まれるようになった、ふだんからケーキを食べ慣れた消費者が増えた、 “ハレの日需要”が薄れたなど、催事ケーキ市場が縮小した理由はいろいろと考えられる。

にもかかわらず、「クリスマスケーキの予約注文は伸長しています」と話すのは、セブン‐イレブン(以下セブン)・スイーツ開発担当の櫻井宏子さんだ。ローソンやファミリーマート(以下ファミマ)にも聞いたが、答えは同じだった。

なぜ逆境の中、コンビニのクリスマスケーキは売れているのか。大手3社が仕掛けた戦略から、クリスマスケーキのトレンドを考察したい。

少人数用のケーキが人気

「最近は、少人数で召し上がれる小さめのケーキやアソート(詰め合わせ)ケーキが人気なんです」

「シャトレーゼ アソートデコレーション」は大人気で完売間近だという(写真提供=セブン‐イレブン)

前出のセブン・櫻井さんはそう言う。2017年の売れ筋には以下の3つのポイントがあった。

・イチゴが華やかなケーキ
・小さめの4号ケーキ
・アソートや個食用のケーキ

これに加えて、「クリスマスケーキを予約する7割は、購買の決定権を持つ30~60代の主婦」という自社データから、2018年のケーキのラインアップを決めていったという。

「2~3人向けの4号ケーキが好評なのは、世帯の人数が減ったこともありますが、『あれこれシェアして好きなものを食べたい』というニーズの高まりでもあると思います」(櫻井さん)

セブンのクリスマスケーキといえば、デザート専用工場で作る「クリスマスかまくら」(2500円)というドーム型のケーキが定番だ。真っ白いシンプルなビジュアルの中から、コク深いカスタードババロアが顔を出す斬新さにハマったスイーツ好きは多い。

「一番人気のケーキです。今年はいつも以上に売れている」(櫻井さん)

栗好きにはたまらない「銀座コージーコーナー 和栗のモンブラン」(写真提供=セブン-イレブン)

そのほか「銀座コージーコーナー 和栗のモンブラン」(2990円)や「シャトレーゼ アソートデコレーション」(3250円)といった新顔も好調だ。

「定番を押さえつつ、もう一つ違うケーキにもチャレンジしてみたいという心理があるのでは」(櫻井さん)

今年のカレンダーでは、12月24日が祝日で3連休になっている。土日を含め、家族や仲間と「3日連続クリスマスパーティーだ」という人もいるだろう。そうした今年ならではの購買スタイルを想定し、女性に強い「シェアして食べるニーズ」に応じたバリエーションの拡大が奏功している。