iPhoneにわいせつな画像を送りつける「エアドロップ痴漢」の被害が急増している。手口は姑息で悪質だが、端末の設定を変えれば被害は防げる。ITジャーナリストの高橋暁子氏は「本名やSNSのアカウントなどを知られる可能性もある。すぐに設定を変更してほしい」と警鐘を鳴らす――。
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iPhoneに突然送られてきたわいせつ画像

「……え?」

女子大生A子さんが大学に行くために電車に乗っていたところ、突然iPhoneに妙な画像が現れた。「◯◯が1枚の写真を共有しようとしています」という文章とともに、男性の卑猥な裸体写真が表示されたのだ。

パニックになって思わず、「受け入れる」「辞退」という選択肢から「辞退」を選んでしまったA子さん。画像は消してしまったので証拠も残らず、誰が送ったのかを確かめたり、駅員に訴えたりすることもできなかった。「誰が送ってきたんだろうと怖くなりました……」と語るA子さん。しばらく1人になるのが怖くなってしまったという。

これがいわゆる「エアドロップ痴漢」だ。

エアドロップ(AirDrop)とは、iPhoneやiPadなどのアップル製品を使っている周囲の人同士が、無線で写真や動画を送受信できる機能だ。URL、連絡先、位置情報、アプリも共有できる。送受信にあたりLINEのIDやメールアドレスを交換する必要はない。

本名を知られてしまう「エアドロップナンパ」

iPhoneユーザーなら、Wi‐Fiのネットワーク選択画面などで「◯◯のiPhone」という表示を見たことがあるだろう。ユニークな名前にしている人もいるが、そのまま本名を設定している人もよく見かける。

女子高生B子さんは、エアドロップ痴漢ならぬ「エアドロップナンパ」をされたという。すいているバスに乗っていたところ、いきなり知らない男が隣に座ってきた。「すいているのに」と不審に思ったとき、男に声をかけられた。

「B子ちゃんでしょ。△△女子高に通っているんだね」

学校名は制服でわかるが、何よりも名前を呼ばれたことに驚いて気が動転したB子さん。慌てて途中下車してしまい、困って親に電話をして迎えに来てもらったという。

「今ならわかるけれど、あれはエアドロップのせいだったんですね」。B子さんはそう話す。