――医療現場って、意外とアナログですよね。

【梅村】ようやく電子カルテが一般的になったところですからね。

【相田】むしろ、患者さんのほうがネットでものすごく病気のことを調べていることもありますよ。

【伊佐山】ああ、あるある。研修医の自分より詳しいんじゃないかと思うこと。でも、一方で、間違ったことを信じている方も多いです。

【梅村】ネットでも本でも、週刊誌でも、間違った医学情報って多いんです。ほんと、ひどいですよ。

【伊佐山】やっぱり、直接診ている医師の意見が、一番信頼できるとは思いますよ。

【相田】今までは「医師が患者さんより圧倒的に知識量を持っている」という前提がありましたが、今ではだんだんイーブンになってきました。でも、病気の診断ができるのは、やっぱり医師だけですので。

――(突然、スッとグラスにビールを注がれて)あ、どうもどうも。本当に若手のお医者さんって、こういうことをしっかりするよね。

【伊佐山】やっぱり、医師の世界は上下関係が厳しいですからね。

――入学すると、まずビールの注ぎ方を叩き込まれますよね。

【伊佐山】低学年の頃から、年長の先生と関わる場が定期的に催されますから。

【梅村】あと、注いでもらうときは、必ず飲み干してから、とか。

【相田】今日はたまたま、自分が上座に座らせてもらってますが、なんだか落ち着かなくて……。

――みなさんは、危うく医療ミスを起こしかけた、といった経験はありますか?

【伊佐山】医療ミスではないですが、処方薬の量を間違えたことはありますね。2錠出すべきなのに、1錠しか出していなかったこともあります。

――それ、大丈夫なんですか?

【伊佐山】病院内では薬剤師さんがダブルチェックをしてくれるので、大丈夫でした。もちろん、気を引き締めなければいけませんけど。

【相田】まだ、幸い、自分のミスで亡くなった患者さんはいません。でも、それはいつ起きてもおかしくない、という怖さは常にあります。

――とはいえ、研修医1年目だと、「研修医なのに重い症状の患者が来てしまって、1人でどうしよう」といった、マンガでよくある設定は、あんまりないのかな?

【伊佐山】人手不足の病院だとありうるかもしれませんが、基本的にはないはずです。研修医が処置をしているときは、うしろで指導医が見ていて、ミスがあれば「違うよ」と言ってもらえる環境ですね。