▼後期研修医になると月収は100万円に!
病院内のさまざまな科を経験する初期研修医と異なり、3年目からの後期研修医は専門の科を選んでそこに所属する。4年目の山際さん(仮名)は小児科を選んだ後期研修医だ。
――小児科に決めたのはいつですか?
【山際】人によっては初期研修の1年目で決めることもありますが、僕の場合は2年目で興味のある科を回り直して、そこで小児科に決めました。
お年を召した患者さんなどでは、特定の臓器というよりは、あちこちが悪いじゃないですか。そうすると、へんな言い方をすると呼吸器科と腎臓内科が患者さんを取り合ったり、押し付け合ったり。その点、小児科なら1人の患者さんを、全身、包括的に診られるので。
――山際さんは、出身大学の医局には入局していないとか。かつての研修医制度ではほとんどの研修医が医局に入りましたが、今は少ないんですね。
【山際】ええ。入局する人としない人は半々くらいですね。
皮膚科や眼科など、専門性が高い科については、大学病院でないと症例が集まらないこともあるかもしれませんが、そんなに専門性が高くない分野でなら、大学と市中病院とで症例の差はないかな、と思います。
――あと、待遇が気になります。ストレートにうかがって、月収は?
【山際】大体、100万円くらいになりますね。
――やはり、初期研修医からは一気に上がりますね。
【山際】大学病院よりは、市中病院のほうが後期研修医の給料が高いということもあります。
――初期研修医は1人では当直しないそうですが、今は?
【山際】1人です。月に5回くらいは当直をしています。ただし、これは市中病院だからで、大学だと1人では当直をさせないところが多いでしょう。
――初期研修医時代と比べて、生活は落ち着きました?
【山際】それは、そうですね。僕は今度結婚するのですが、その準備ができるくらいには余裕があります(笑)。
だいたい朝は8時くらいに病院に行って、急患が入らなければ18時に帰ることも少なくないです。平均して週に1回くらいは急患が入るので、そういうときは19時とか20時とかですね。
急患といっても小児科の場合、10人に9人は、すぐに自宅へ帰ってもらっても問題ないような患者さんです。すると、逆に10人に1人を見逃さないのが一番大事な仕事になるんですよ。後期研修を終えたら、次は専門性を身に付けるために、小児診療に特化した病院に行こうと思っています。
1986年、茨城県生まれ。水戸一高、群馬大学医学部卒。卒業後は医師の道を歩まず、在学中から活躍のライター業へ。インチキ医療サイトの告発にも取り組んでいる。